気難しい医師と患者の関係に1匹の猫がからんで恋が始まった。菅原亮きん先生が月刊!スピリッツで連載している、ちょっと切ない恋愛漫画『猫で人魚を釣る話』の単行本1巻が6月12日に発売されました。
生真面目で気難しい四月一日正直(わたぬき・まさなお)先生は「病人を診ずして病気を診よ」をモットーに働く内科医師。患者からの好感度は最低でも、院内での完治率は最高というほど振り切れています。そこに猫好きの患者、吉祥てら(きっしょう・てら)さんが現れたことで物語は始まります。
つらい病を前にするとなぜか笑顔を見せる吉祥さん。四月一日先生には彼女の反応が理解できません。が、診察を続けるうちに彼女が猫の話をするときだけ、病気の話で見せる笑みとはまったく違う生き生きとした笑顔になることが判明します。
日ごろの吉祥さんは、本来の感情を隠しているのでしょう。これまでずっと患者の命だけに向き合ってきた四月一日先生は、吉祥さんに出会って初めて患者の気持ちも知る必要があると考え始めたのです。
やがて四月一日先生は吉祥さんと野良猫のアクシデントに巻き込まれ、野良猫を自分の猫だと宣言し、そのまま飼い始めてしまいます。これは吉祥さんの希望を開くためだけについたウソ。しかし……?
いざ猫と共に生活を始めてみると、四月一日先生は猫のふるまいに無関心ではいられません。猫の生活を観察し、猫の体調を診てはカルテを作成。吉祥さんのための猫は、四月一日先生自身の猫へと変わっていきます。
この物語は、有能ながらも不器用な四月一日先生の心を追っており、感情に関してわかる点があまり多くありません。読者からはかんたんに想像できる感情も、四月一日先生の前ではミステリーとなり、もどかしい心を読み解いていく話になっています。
同作の漫画表現は正しくコミカルさを持つもので、どのページにも場面場面の空気がしっかり描き込まれています。キャラクターが画面狭しと駆け回る漫画らしい漫画はながめるだけでも楽しく、読み進めるたびにわくわくが感じられる画面になっています。四月一日先生の堅物っぽさも、場面やセリフだけでなくコミカルな構図からもしっかり伝わってきます。温かく、ハートフルで心地よい一作です。
吉祥さんと、吉祥さんを心配して猫を飼った四月一日先生の物語はこれからどう転がっていくのでしょう? 猫をとおしたつながりや、徐々に表れてくるであろう四月一日先生の猫愛も楽しみです。
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