漫画海賊版サイト「漫画村」が閲覧できなくなってから約2カ月が経過しましたが、その後正規の電子書籍売上は上がったのか。カドカワ代表取締役社長であり、ドワンゴ取締役CTOでもある川上量生氏は6月22日、メディアの取材に対し、「増えました」と回答しました。
川上氏は同日行われたニコニコ生放送「激論 どうなる、海賊版サイト対策のこれから」に出演。番組終了後にメディアの囲み取材に応じました。川上氏はねとらぼ編集部の「漫画村が見られなくなってから、電子書籍の売上に変化はありましたか」との質問に対し、「それはもう増えましたね」と即答。ただ、具体的な数字についてはまだ出せる段階ではなく、現状では「ほぼ伝聞に近い形です。申し訳ない」と補足しました。
また、同じく番組に出演していた弁護士の村瀬拓男氏も、川上氏に付け加える形で「増えたのは増えたんですよ」「ただ、漫画村閉鎖がどれくらい寄与したかの判断はもう少し時間を見て分析してみないと何とも言えない」と回答しました。村瀬弁護士によると、5月は例年ゴールデンウイークに合わせて電子書籍関連のキャンペーンが行われることが多く「6月いっぱいまで見てみないと、というのが今のところの業界内での認識です」とのこと。
なお各所の報道によると、同じく22日に行われた政府の海賊サイト対策検討会の中でも、出版社側から「売上が回復した」との説明があったとのこと。具体的な数字がいつごろ出せるかについて川上氏は、出版各社の四半期決算発表など、どこかのタイミングで「多分足並みをそろえて発表するのでは。自分のところだけ出すというのは多分みんな嫌なので(笑)」と見解を示しました。
漫画村閉鎖で正規の電子書籍売上がどう変わったかについては、5月から6月にかけ、複数の漫画家や編集者が「過去最高の売上になった」「印税が増えた」などと報告し話題になっていましたが、今のところ裏付けとなるデータは出てきておらず、一部では疑問視する声も出ていました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ニコニコ生放送で海賊版サイト対策に関する討論会を実施 ドワンゴとJAIPAが共催
インターネットの在り方を問うほどの騒動となった海賊版サイト問題について、専門家たちが討論します。 - 海賊版サイトへの広告を排除へ CODAと広告関連3団体、抑止に向けて定期協議実施を決定
JIAAは会員社が海賊版サイトに関与していないかを調査中。 - 漫画村との取引否定していた広告代理店、一転して「深く反省」 関係者は「海賊版と手を切れば仕事ない」と証言
社員への謝罪メールを独自入手し、広告代理店を直撃。 - 作品名を検索→海賊サイトが上位表示される問題 「漫画村」は4月に姿消す アニメと映画は今なお深刻
検索エンジンにおける海賊版サイトの問題。SEO専門家の辻正浩さんに現状と対策を取材しました。 - 「海賊版という認識なかった」 Anitubeに毎月広告費1300万円を支払っていた代理店が取材に応じた
Anitubeの運営者が起訴されていたことも分かりました。 - 「どんな基準で黒とするのか」「責任は誰が」 海賊版サイト広告が停止しなかった理由を広告業界団体に聞いた
日本インタラクティブ広告協会(JIAA)とコンテンツ海外流通促進機構(CODA)に聞きました。 - 「インターネットの自由のために」 海賊サイト遮断、NTTコム提訴の弁護士が立ち上がった理由
海賊サイトへのアクセスを遮断する「ブロッキング」の実施を巡り、NTTコミュニケーションズを提訴した中澤佑一弁護士が26日、記者団の取材に答えました。 - 海賊版サイト遮断でNTTコム提訴へ 原告は弁護士
今回の海賊版サイトブロッキング問題で、訴訟が明らかになるのは初めて。 - 漫画だけではない、Kindle“海賊出版”の実態 Amazonの審査体制に「漫画村プロと変わらない」と批判も
Kindleで広がる海賊版コンテンツについて、「きんどう」管理人のきんどうさんに聞きました。