「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」は6月8日、著作権を侵害する海賊版サイトに広告を掲載しないよう、広告関連の3団体と連携し、定期的に協議する場を設けると発表しました。
「漫画村」をはじめとする海賊版サイトが世間をにぎわせている昨今、海賊版サイトに広告を出稿している企業や、代理店の責任を問題視する声が高まっています。
これまでの取材でCODAを含む著作権関連団体9団体が、ブラックリスト(※)を作成し、広告業界の自主的な取り組みに活用されるような動きを行ってきたことが分かっていますが、今後は、より実質的な対応策の確立・強化を図るために、CODAと日本アドバタイザーズ協会(JAA)、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)、日本広告業協会(JAAA)が定期協議を行うとのことです(関連記事)。
(※)ブラックリスト……多数の著作権侵害コンテンツが存在しているのに、権利者からの削除要請に応じない「悪質な侵害サイト等のリスト」。
今回の協議決定についてCODAは、「現在、海外サーバなどで運営されている悪質な侵害サイトによる著作権侵害は、日本のコンテンツ産業の根幹を脅かす規模で行われています。しかし、侵害サイトに対して取るべき対策は国や地域によって異なることなどから、直接的な対策は困難な場合も多いのが実情です」と、対策の難しさを説明。
海賊版サイトに支払われる広告費が、サイト運営の資金源になっていることが指摘される一方で、多くの広告主も海賊版サイトに広告費を支払うことや広告が掲載されることを望んでいないとし、コンテンツ業界と広告業界が連携することにより、広告掲載先から違法・不当サイトを排除し、コンテンツの適切な流通の促進に尽力するとのこと。
またこの定期協議に参加するJIAAは同日、「JIAAにおける海賊版サイトへの広告掲載に関する対応について」というお知らせを発表。
「海賊版サイトへの広告掲載に関して、会員社の関与の有無や、問題認識、対策の実態等の調査を行っております」としたうえで、「今後、調査によって確認された実態に基づき、改善の必要性や課題、有効な対応策等を検討してまいります」と、現状を報告。調査の結果、「会員社において当協会が定める行動憲章及び広告倫理綱領に反する事実が確認された場合には、内部規程に基づいて公正に対処いたします」としています。
CODAとJAA、JIAA、JAAAの定期協議は6月下旬に行われる見通しで、新たなブラックリストが共有されるとみられています。
(Kikka)
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