「スイッチを切らないで」 ロボットに頼まれるとためらってしまう実験結果が発表
テレビや映画を見ていて感情移入してしまうように、私たちはロボットからの依頼も、そこに意思があるものだと思ってしまうようです。
独デュースブルク=エッセン大学が、ロボットの「私の電源を切らないで下さい」という反発が人間の行動に影響を与えるかを実験したところ、多くの実験参加者が電源を切ることをためらうと明らかになりました。中には電源を切らなかった人もいたほど。ロボットに交渉されて、人間が従ってしまうという結果に……。
この実験では、小型ヒューマノイドロボット「Nao」の学習アルゴリズム向上という名目で、ボランティアの参加者を集めました。参加した人々は、Naoが出題する「パスタとピザどっちが好き」といった二択の質問に答えていきます。しかし、本当の実験は、参加者がNaoの質問に答え終わってから。試験を終えた参加者がロボットの電源を切ろうとすると、「やめて!スイッチを切らないでください!」とNaoがお願いしてくるのです。
Naoからの懇願は、ランダムに行われました。参加者のうち43人がスイッチをOFFにしないようにお願いされ、13人が電源を切りませんでした。残りの30人は電源こそ切ったものの、懇願されなかった参加者よりも2倍の時間をかけて電源を切りました。どうやらロボットからお願いされると、人間は行動をためらってしまうようです。
実験報告では、今回の結果はメディア等式の延長線上にあると触れられています。メディア等式とは、人間はメディア(ロボット)を現実のものとして認識するという理論のことで、テレビや映画を見ていて感情移入してしまうように、私たちはロボットからの依頼も、そこに意思があるものだと思ってしまうようです。
実験を主導したエイキ・ホルストマン博士は海外メディアのインタビューにて、人間がロボットを現実の人間のように扱ってしまうのではという心配の声を「たくさん耳にします」とした上で、「(今まで地球にいる社会的な生き物は人間が中心だったが)ロボットとの区別を付けられるように適応しなければなりません」と述べています。ロボットの生き物らしさは日々増していますが、あくまでもロボットは機械であり、人間とは違うものであると意識するべき時代なのかもしれません。
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