「本当に助かりました。感謝しています」台風21号で孤立した関西国際空港 現場に居た当事者に利用客やスタッフのようすを聞いた(2/2 ページ)
現地のようすやスタッフの対応について聞きました。
当時、ゆうたさんが居たのは関西国際空港第1ターミナルビルの4階、国際線出発ターミナルだったそうです。9月4日夜のフライトに搭乗予定でしたが、事前に交通手段の麻痺を見越して3日昼ごろには関空に来ていたそうで、空港で過ごした時間はおよそ48時間とのこと。
ゆうたさんは駐機場の一部が冠水している状況を目の当たりにしたそうですが、当初は「すぐに水は引くだろう」と思っていたそうで、孤立状態になったと分かったとき「帰る予定も飛行機の予定もなくなってしまった」ことで、先行きの分からない状況に不安を覚えたそうです。
周囲に居た人々のようすについて尋ねると、一部でスマホが圏外になるなど、通信の悪さで情報が得られにくい状況であったものの大きな混乱はなかったようで、「特に慌てるようすもなく自分たちの寝床の確保や航空会社のスタッフに今後のフライトを尋ねる」といった姿が見られたそうです。空港という場所もあってか英語での対応も取られ、海外の人も取り乱したようすは無かったそうです。
空港スタッフの中には「こんなのは初めてだ」と困惑するようすもあったそうですが、「いつもと変わらない様子で対応していた」そうで、非常用の食料と飲料の配布も行われたときは「疲れた様子でしたが、日本語と英語で食料配布についてターミナルを歩きまわってアナウンスしていた」と、停電によって照明や空調、アナウンスなどの設備が停止し、できることが限られている中でも、利用客を不安にさせないよう人力による精一杯の対応に終始していたようすが伺えます。
今回の関空の対応について、ゆうたさんは「本当に助かりました。感謝しています。あれだけの人がいる中でパニックにならなかったのは素晴らしいと思います」と胸の内を話してくれました。自身のTwitterでも、空港で不安な48時間を過ごしたうえで「空港の責任とか批判してる人おるけど、停電しててアナウンスできん上に色んな言語喋る人がおる中で、自分たちも被災してるのに食料配布と臨時バス運行したのは流石としか言えんでしょうよ!!」と賞賛しています。
関西国際空港を運営する関西エアポートによれば、空港内に滞留していた約7800人のうち、希望者の25人を除く全ての人を、関係各所の協力もあって台風一過の9月5日23時までに空港外への輸送が完了したと報告しています。
また今回の台風をきっかけに関西エアポートのTwitterアカウントが作成されており、9月7日から一部再開されているフライトの予定や臨時バスのダイヤなどの情報が公開されています。
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