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いま「3D」VTuberが急速に増えている理由と、それでも失われない「2D」の魅力(3/3 ページ)

要はどっちも好き。

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3Dならではの利点とは

 2DのVTuberが3Dの体を求める理由はたくさんあると思いますが、やはり表現の多彩さやライブ感が圧倒的に高まるということが挙げられます。飛んだり跳ねたり踊ったりなど思い通りのものを表現することは、3Dでしかできません。また、元から3DだったVTuberさんとコラボするために3D化したVTuberもいます。

 2DVTuberになくて3DVTuberにあるもの、それは「奥行き」に他なりません。空間的な奥行きだけでなく、活動の幅もグッと広がっているようです。

 例えば、にじさんじの委員長こと月ノ美兎は2018年4月7日に行われたニコニコ生放送番組「月ノ美兎の放課後ニコ生放送局 」で3Dモデルを“受肉”したことをきっかけに「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX〜2018 Summer〜」や「バーチャルカラオケ〜2018・夏〜」などいくつかのイベントで、大物3DVTuberとのコラボを果たしています。「バーチャルカラオケ」では電脳少女シロとのファン待望のコラボを果たし、ふたりで『清楚』の2文字を掲げる場面などはコメントでも大きな盛り上がりを見せました。

 最近でも、「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX 〜2018 Autumn〜」やよみうりランドで開催されている「Vtuberland」でたくさんのキャラクターが“受肉”を果たし、大きな話題を呼びました。


2Dならではの、表現を“屈折させる”という良さ

 私がまだ本当に「全員見る男」だったころ、VTuberという略称すら定着していなかった2017年末から2018年1月頃までは、バーチャルYouTuberは“バーチャル”というくらいなんだから3Dで当然だろ! みたいなことを言う人も少なからずいました。

 そもそも英単語としての“virtual”は直訳では“事実上の”みたいな意味ですから、これはあまり正確ではないのですが、いかんせんVRもあまり普及していなかったころの話なので仕方ないのかもしれません。人々のイメージはVRゲーム、日本でいえばPSVRのようなゲームデバイスとイメージの結び付きが強かったのだと思います。

 年末にはヨメミさはなねむくらいしかいなかった2DVTuberですが、1月にはさょちゃん、げんげん、あっくん大魔王、ゴリラなどいまだに爪痕を深く残す面々がデビューしています。彼らが人気を博するとともに、2DもVTuberの世界になじんでいきました。そこに拍車を掛けたのは何と言っても「にじさんじ」の登場です。



いまだに上位に残る人気を誇っている2DVTuber
10分で分からねぇあっくん大魔王

 にじさんじは当初から“バーチャルYouTuber”ではなく“バーチャルライバー”として生放送を活動の中心としていました。にじさんじの誰かが1日1回は放送しており、気が向いたときに取りあえずの気持ちで気軽に見られる。それが日常への親和性を高め、人気を博していったと私は考えます。

 2Dならではの良さとして、イラストのタッチを崩すことなくモデルとして動作させられることがよく挙げられていますが、私は2Dの神髄は表現の狭さにあると思っています。

 VTuberという1つのキャラクター・人格を形成する上で、生々しさというものはある意味ご法度とされています(逆にそれを逆手にとっているような人もいますが)。基本的にはそういうところは隠匿される傾向にありますよね。

 3Dで活動されている方が全てそうだというわけではありませんが、動きの微細な部分に“生きている”感じがどうしても現れます。“生きている”ことが悪なのではないのですが、私みたいなVTuberに入れ込みすぎてしまうタイプの痛いオタクから見ると、なんか少し残念な気持ちがあるのです。「アイドルは排せつをしない」みたいなものと同じです。

 例えば、2Dモデルって姿勢を崩すことがないですよね。普通の人間がカメラの前で長時間配信をすれば多少なりとも姿勢が悪くなったりするものですが、2DVTuberにはそれがない。2Dモデルはその表現の狭さが人間らしい生々しさのようなものを屈折させ、視聴者に届かないようにうまくできているんじゃないかな、と思っているのです。


おわりに

 手軽にVTuberになれるようになって来た中で、“2Dなのか3Dなのか”というのは以前に比べて自由に選べるようになってきました。だからこそ、「自分の表現したいものって何だろう」「それはどう伝えればいいんだろう」のようなVTuber本人のセルフプロデュース力が試されるようになってきています。

 2Dの良さ、3Dの良さ、この記事ではまだまだ語り尽くせていませんが、読者の皆さんも自分にあった良さや表現の方法を見つけてバーチャルの世界へ飛び込み、“受肉”してみてはいかがでしょうか。

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