今年、ある「ユニークな大学入試問題」がネット上などで注目を集めたのをご存じだろうか。
じゃんけんの選択肢「グー」「チョキ」「パー」に、「キュー」という選択肢も加えた新しいゲームを考案しなさい。解答は、新ゲームの目的およびルールを説明するとともに、その新ゲームの魅力あるいは難点も含めて、601字以上1000字以内で論じなさい。
(2018年度・早稲田大学スポーツ科学部 小論文入試問題)
勝ち負けを決めるゲームの中で最もシンプルかつ、最も一般的なものといえる「じゃんけん」。完成されたこのゲームに自分なりの独自ルールを加え、新たなゲームとせよ、という問題だ。
どんな答えを書けばいいのか、思わず頭を抱えてしまいそうだが、この問題に3人の東大生がプレゼン形式で挑戦したので内容を紹介しよう。
プレゼン1:順位を決められるじゃんけん
まずは1つ目の案から。
この案では新しい手「キュー」を、既存の手「グー・チョキ・パー」と同じような4つ目の手として扱い、それぞれに対する強弱を決める(画像参照)。
このルールでは、一般的なグーとパーの間にキューが入り、グーはチョキに、チョキはパーに、パーはキューに、キューはグーに勝つ。また、グーとパー、チョキとキューはともにあいことなる。
このルールのメリットは、3人以上で戦った場合に「順位が決まる」ということだ。つまり、3人でやったときに、一発で「2位」を決められる(ことがある)という点。
例えば、3人の手がそれぞれ「グー」「チョキ」「パー」だった場合、通常のじゃんけんのようにあいこにはならずに、「グーの人:1勝1分」「チョキの人:1勝1敗」「パーの人:1分1敗」となる。
勝ち>あいこ>負けの順に得点が高いと考えれば、1位:グー、2位:チョキ、3位:パーとなる。順番決めのじゃんけんなどで役に立つルールと言えそうだ。
プレゼン2:1対大人数でのじゃんけん
続いて2つ目の案。
もとの問題文には「新ゲームの目的」を説明せよ、とあるが、この案はかなり特殊な状況を想定している。それは「1人対多数のじゃんけん専用ルール」だということ。
パーティーなどの大人数の場で、プレゼントなどをもらえる数人を選出したいとき、「司会者対その他大勢の人」という形式でじゃんけんをすることがあるだろう。
この案では、キューの手を使えるのは「司会者」に当たる1人だけ。この人は、右手では大勢を相手に普通の手を出すが、左手は隠しながら「キュー」か「キューなし」か、どちらかの手を選んで出しておく。
つまり、司会者の出す手は(グー、チョキ、パー)×(キューあり、キューなし)の6パターンとなる。
司会者は、まずは右手で手を出し、その後に隠していた左手を出して「キューがあるか、ないか」を見せる。
勝敗は、左手がキューの場合は「あいこの人が脱落(つまり負け)」、左手がキューでなかった場合は「負けの人が脱落(通常通り)」というルールだ。
このルールによるメリットは、「キューがあるか、ないか」という緊張感で、じゃんけんが2度楽しめるという点。右手のじゃんけんで負けていた場合でも、左手がキューであれば先に残れる。つまり、“敗者復活”のようにもう一度ドキドキを楽しめるのである。
また、左手は隠されているので、考えようによっては「後から改変可能な手」でもある。これを司会者がズルく使えば、司会者には「残したい子を必ず残せる」というメリット(?)があるし、逆に参加者には「司会者に嫌われていると負けやすくなる」というデメリットがあるとも言えるだろう。
プレゼン3:勝率が同程度になる平等なじゃんけん
最後の案は、「キュー以外の(キューを除いた)手があいこだった場合は、キューが勝ちになる」というルール。これは4人以上でじゃんけんをすることを想定している。
4人でじゃんけんをして、「グー、チョキ、パー、キュー」となった場合は、その他の手があいこなので「キュー」の勝ち。同じように「グー、グー、グー、キュー」でも「キュー」の勝ちである。
「グー、チョキ、キュー、キュー」など、キュー以外の手で勝敗がついている場合は通常の勝者(この場合はグー)が勝ちとなり、キューは負けたことになる。また、「キュー、キュー、キュー、グー」のようにキューが多数となった場合は、他の手を出した1人の勝ちとする。
4人でじゃんけんをした場合のそれぞれの手の勝率は大体20%程度で等しい。
このルールのメリットは、「キューの存在で、あいこの可能性がかなり低くなる」ということ。これにより、ゲームをスムーズに進行できる。
本当に平等なのか計算してみた
4人では勝率が20%程度と等しく感じられたが、実際に計算してみると不公平極まりないルールであることが分かった。特に7人以上のじゃんけんではキューを出せば50%以上の確率で勝ててしまう。キュー以外の手の勝率は6人以上で25%未満となり、グーやチョキを出す理由がなかった。
ゲームとして成り立たないのでは……。
楽しければ良い
いろいろなルールを紹介したので、興味がある方はぜひやってみてほしい。また、「キュー」を加えたこれ以外の新ルールも考えると楽しいはず。
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