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「赤ペンはむしろ見にくい」「プレゼン本の『良い例』は良くない例」 色弱者に聞く“本当に見やすいデザイン”とは?(2/3 ページ)

カラーユニバーサルデザイン機構に話を伺いました。

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 「色名進化論」という学説があるのですが、それによると古代日本の基本的な色は白・黒・青・赤の4つしかなく、国際的にも類似した傾向が見られるそうです。

 そもそも、これほどたくさんの色や色名が日常的に使われるようになったのは、わりと最近のことではないでしょうか。例えば、私が子供のころ、祖父母や両親はまだ、緑色のことを「青色」というのが普通でしたよ。昭和30年くらいが転換期だったんじゃないかな。

 ちょっと話がそれますが、色の認識能力には不思議なところがあります。「認識できる色が多い/少ない」だったら、多い方が便利そうではありませんか?

―― 「大は小を兼ねる」ではありませんが、言われてみればそんな気がしますね

 東京大学大学院に、サルの色覚などについて研究されている河村(正二)教授という方がいるのですが、その研究によると「一般色覚(3色覚)のサルの方が、遠くの木に実っている果物を見つけるのが上手。でも、植物に擬態した虫を探すのは色弱(2色覚)のサルの方が得意」なんだそうです。

―― 一般色覚も色弱も、一長一短という感じですか

 そもそも脊椎動物は基本的に4色覚(センサーが4つ)で、ほ乳類の多くは2色覚。われわれは“色を見る能力を一部捨てちゃった生物の一種”なんです。人間やサルは、失った能力をちょっとだけ取り戻して3色覚になりましたが、鳥類などのように紫外線を見ることはできません。

 色弱を「機能欠損」「異常」のように捉えている人もいるかもしれませんが、私は決してそうではなく、「多様性」の一種なのではないかと考えています。いろいろな特性を持っている個体がいた方が集団としては強いでしょうし、認識できる色が少ないことがデメリットでしかないなら、ほ乳類自体が進化の過程で淘汰されているのではないでしょうか。

実は使いどころが難しい「赤ペン」

―― 色弱者にとって分かりにくいデザインとはどのようなものでしょうか

 私自身、色弱なのですが、「一般色覚者向けに色分けされたデザイン」のものを使うときは、コストがかかることがあります。例えば、以前は電車に乗るとき、入り組んだ路線を指で追ったり、よーく目を凝らしたりして路線図を見ていました。

 自分にとっては当たり前なので、それを不便とは思いませんでしたが、一般色覚を持っている人は色の違いを利用してサッと読み取ってしまうわけです。

 「色がそんなに便利なら、より多くの人が利用できるようにした方がいいよね」というのが、私たちの考え方です。「俺たちに合わせて赤色のものを、青色に変えてくれ」というのではなく、「赤色でも、ちょっと工夫すれば見やすくなりますよ」という感じです。

 分かりにくい色使いの一例として、“黒赤問題”があります。以前、鳥取県内の施設で使われている資料を調査したことがあるのですが、問題のほとんどはこれでした。

―― “黒赤問題”とは?

 例えば、白い紙に黒いボールペンで文字を書いて、重要なところを赤いボールペンで強調したとしましょう。

―― 学校のノートも、そんな書き方の人が多かったと思います

 あるタイプの色弱者には、濃い赤色はこげ茶色や黒色に近い色に見えます。だから、赤色で書いたところがかえって目立たなくなったり、見にくくなってしまうことがあります。





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