小学生の頃は学校や自分の家のまわりの世界が全てで、いつもの帰り道、いつもの風景の中でただただ生きていた。でも、ちょっとした偶然でその世界は変わることもあるのかもしれません。小学生の男の子とお姉さんのひと夏の思い出を描いた漫画「知らないお姉さん」が、どこかノスタルジックな気持ちにさせてくれるとTwitterで話題です。
ひまわりが咲き、セミの声がより一層暑さを感じさせる夏の日。学校帰りの少年はある家の前を通るとコイがいそうな大きな池を見つけ、近づきます。すると背後から「人ん家勝手に入って何しとんねん」という声。振り向くとお姉さんが立っていました。これが少年とお姉さんの出会いでした。
謝る少年にコイの餌やりを勧めてくれるお姉さん。初めての餌やりでバシャバシャと跳ねるコイに「おっかねえ」と言いながら、興奮する少年。すると、お姉さんはもっといいものを見せてあげると少年を誘います。
家に中に入れてもらうと、床にコイのいる池がのぞける窓がついており、少年は驚きます。「お姉さんはコイ好きなんだね!」と言うと、お姉さんはこんな狭い池でしか生きられない魚はあまり好きじゃない、守られなければ死んでしまうからと答えます。少年にはその時はよく意味が分かりませんでした。
お姉さんちには大きなテレビもゲームも見たことないお菓子もたくさんあり、見るからにお金持ちでした。ファミコンで一緒に遊んだり、じゃれているとおじさんが部屋に入ってきて、お姉さんに向かってあまり動くと体にさわると気遣い、薬を飲む時間だと伝えます。
少年はお姉さんに何の薬を飲んでいるのか聞くと「心臓」と答え、お姉さんには生まれつき心臓の病気があることを教えてくれます。ゲームの続きをしようと誘うお姉さんに、少年はもう帰ると伝えます。
帰り道、お姉さんのとてもいい匂いを思い出しながら、薬を飲まなきゃいけない心臓の病気や狭い池で泳ぐコイのことをぐるぐる考えるとなんだか胸が苦しくなった少年なのでした。
作品は全5話で構成。2話以降ではお姉さんの詳細な病状が明らかになっていき、少年との距離感に変化も。この後、少年だけではなく、お姉さんにとっても少年の存在が大きくなっていくのですが……。気になる続きは仲曽良さんのTwitterやnoteで、ぜひ読んでみてくださいね。
同作は誰にでもあったであろう「あの頃」を漫画で描いた『ハミ出る思い』シリーズの番外編的位置付けの作品。それまで存在すら知らなかったお姉さんが急に少年に身近になり、その言動に影響を受け、考えさせられる。人はこんな出会いや経験を重ねて大人になっていくものなのかもしれません。どこか懐かしいノスタルジックなこの漫画を読んだ読者からは「忘れかけていたものを思い出した」「柔らかい気持ちになった」など共感を得ています。
画像提供:仲曽良ハミ(@nakasorahami)さん。
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