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幻のファミコン版「シムシティ」、プロトタイプ版が海外の中古店で発見

スーファミ版と同時に発表されながら、中止になっていた作品が発掘。

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 都市経営シミュレーションのパイオニア「シムシティ」の、知られざるファミコン版のプロトタイプがアメリカで発見されました。ビデオゲーム史のデジタルアーカイブ化を目指す非営利団体「The Video Game History Foundation(VGHF)」が、公式ブログで一部始終を説明しています。

発見されたカセットをもとに作られたプレイデモ。約3時間のプレイを4分30秒にまとめている

シムシティFC グラフィックは粗めながら、ロゴは明らかにシムシティ。任天堂とMAXISのクレジットもしっかり入っている

シムシティFC タイルが2×2マス構成の点を除き、他機種版と同様に遊べるとのこと

シムシティFC スーパーファミコン版でおなじみの補佐役、Dr.ライトも登場

シムシティFCシムシティFC 手塩にかけてつくった町を、怪獣を呼んでぶち壊す遊びもそのまま

 初代「シムシティ」は1989年にMac版が登場して以来、多数の家庭用コンピューターで展開。1991年発売のスーパーファミコン版も有名ですが、実はそれと同時にファミコン版も発表されていました。のちに発売中止となったものの、同年のWinter Consumer Electronics Showでプレイアブル出展までしていたのだといいます。

VGHFが入手した、Winter Consumer Electronics Showのレポート番組。展示品のシムシティがNES(海外版ファミコン)上で動いているのが分かる

 こうしてファミコン版は20年以上幻の存在となっていましたが、2017年に米シアトル州の中古ゲームショップにプロトタイプ版のカセットが持ち込まれ、再び日の目を見ることに。この由来が明らかでないカセットは、ビンテージゲームの展覧会に出展されたのち、VGHFの役員が購入。同団体によって分析されることとなりました。

中古店のオーナーが撮影したという映像。ラベルが簡素で、明らかにサンプルと思われるカセットでシムシティが動いている

 調査の結果、このプロトタイプは重大なバグやスペルミス、一部仕様の不足などはあったものの、大部分はできあがっており、プレイは可能だったとのこと。スーパーファミコン版と同じ要素はおおよそ入っているうえに、ファミコン版独自のBGMも収録されていたそうです。ゲーム開始時に「好きな単語」を聞かれ、後半にはその言葉を冠した姉妹都市が登場するという「MOTHER」めいた仕掛けまであったのだとか。


シムシティFC 都市の名前を決めたのち、好きな単語を入力。VGHFは「ARTIFACT」と入れている

シムシティFC 都市の発展に伴い、姉妹都市「ARTIFACT City」が登場するという心憎い演出

 「シムシティ」は、ウィル・ライト氏が「バンゲリング ベイ」の開発中に用いた、マップ作成ツールから発展した作品。VGHFのブログではそういった開発経緯や、同作に興味を持った任天堂の宮本茂氏が移植権の交渉に及んだ話など、興味深いエピソードがまとめられていて読みごたえがあります。



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