【インタビュー】実写版『リセット・ゲーム』堤幸彦監督「マンガと映像を繋ぐ、ちょうど真ん中にいるような作品」
12月11日に突如公開された、『リセット・ゲーム』の特別実写化映像について、堤監督にインタビューしました。
累計読者数750万人、累計PV数77億を超える、マンガアプリ「GANMA!」のビッグタイトル、『リセット・ゲーム』。
この大人気サスペンスアクション作品の特別実写化映像が、2018年12月11日に突如公開。同時に、なんと本作の映像化には、この冬に映画『十二人の死にたい子どもたち』の公開も控える、堤幸彦監督がメガホンをとったことがアナウンスされました。
本作では俳優・新田真剣佑さんを主演におき、監督自身が「完コピ」と語るほどに原作に忠実、それでいて冒険心に満ちた新感覚の映像表現が展開されています。
そこで今回「コミスペ!」では、堤幸彦監督より実写化に際した思いを伺う、メールインタビューを実施! 併せて、原作のコマと実写化映像のシーンを比較しながらその再現度の高さをお伝えします!
(取材・文・編集:コミスペ!編集部)
マンガと映像を繋ぐ、ちょうど真ん中にいるようなポジショニングの作品に思えてしょうがない
── この度はお忙しい中、インタビューにお応え頂きありがとうございます。まずは原作を手に取り読み進めた時の率直な感想をお聞かせください。
堤幸彦監督(以下、堤監督):スピード感や、その先に何が起こるか分からないスリリングな面白さがずっと続くところに、このマンガのおもしろみを感じました。特に、人知の及ばない大きな恐怖の中にいる人間のちっぽけな部分が非常によく描かれているなと感じました。
── 公式サイトでも公開されているコメント映像では、本作のことを「非常に映像的なマンガ」と評されていましたが、どういった部分に”映像的な”印象を感じられたのでしょうか。
堤監督:箱の中で物語が展開されていくということは、密室でありながら最もシンプルな映像表現だなと。その中に別れ道であったり、落とし穴であったりの要素が加わってくるんです。マンガと映像を繋ぐ、ちょうど真ん中にいるようなポジショニングの作品に思えてしょうがなかったです。
そういう意味で、先生からの挑戦状なのではないかと思ってしまうほどでした。「ハリウッドならできるだろうけど、日本映画でこれが映像化できるのか?」というような。もちろん先生はおっしゃらないですけど(笑)、この作品の映像化に対するメッセージ性を感じました。
── 原作と映像を照らし合わせてみて、コメントで監督が仰ってたようにまさに「完コピ」ともいえる再現度で驚きました。監督にとって特に気に入っているシーンやこだわり、また演出に悩んだシーンなどもあれば教えて下さい。
堤監督:女子ふたりの戦闘シーンで、スピード感とリアリティーの部分が難しかったです。幾重にも仕掛けをしながらの撮影を行いました。
また今回の撮影では、この戦闘シーンと扇風機に吸い込まれまいと必死に走る姿のシーンがかなり大変でしたね。床が動くという表現を、あとからCGで加える部分は苦労しました。
アイテムとしては、目から血が出るブロックですかね。質感を出すのが難しく、絵では分かるけど、立体的な怖さを演出するのが難しかったです。特に照明に気を遣い、いかにして不気味な色味になっていくのかは、最終的な色彩調整も含めてこだわりました。
今回の映像はCGが勝負でしたから、生きてるように動かす、“無機質でありながら有機的”な表現は、壁など基本の色使いをどうするのかが大事です。それらの細かい部分は、吉開先生への取材の中で「ブロックのエッジには、うっすら赤い線がたまにでる」というお話をヒントに、CGに反映していきました。一番CGで難しかったのは色彩感、明暗感をつかって不気味さを出すところです。
── 新田真剣佑さんは今回、アクションもご自身で行い正に体当たりの演技を見せ、聖一が乗り移ったかのような印象でした。元々、彼を聖一役に選んだのはどういったポイントからだったのでしょうか? また、実際『リセット・ゲーム』を作り上げる仲間として現場を共にしてみた印象はいかがでしたか?
堤監督:彼はやっぱりアクションが天才的ですね。身体能力に才能の片鱗を感じました。あとは圧倒的で嫉妬するほどのイケメン(笑)。持って生まれた役者感みたいなものを持ち合わせている。
そして何よりも、(音楽の)リズム感が相当いいところがいいなと思う。2人で編集をみながら話していた際には「ちょっとリズムが合わないな」と思ったときに、彼も同じような反応をしているタイミングがあり、歳はとても離れていますが、通じ合えているというか同じ目線に立っている感覚がありました。
原作が持つ面白さを見せられるかは基本中の基本
── 堤監督はこれまでにも、『金田一少年の事件簿』をはじめ、『20世紀少年』や『BECK』などマンガ原作の作品の実写化も数多く手がけられています。そしてそのどれもが、原作の構図や構成に忠実であり、原作ファンの心をがっちりつかんでらっしゃると感じます。堤監督にとってのマンガ原作作品の実写化に対する信条をお聞かせ頂けますでしょうか。
堤監督:原作物を映像化するときは、原作が持つ面白さを見せられるかは基本中の基本。原作をちゃんと読み込んで、自分なりに再構築して行くのが大切。欲を言えばさらにもう1つ、ご覧になる方に気持ちのお土産のようなものがついていると、さらにプロとしていい仕事なんだと思います。
── 今回の『リセット・ゲーム』の他にも、マンガ作品の中で堤監督が映像化をしてみたい!と熱い視線を注ぐタイトルはございますか? 併せて、純粋に最近読んで印象深かったマンガ作品ももしあれば教えて下さい。
堤監督:昔からやりたいのは『ゴルゴ13』。ミッションインポッシブル的な映像テクニックやアイディアと、世界政治、経済、事件に関する心理学などを掛け合わせ、弾一発ですべてをおさめるみたいな世界観(笑)。あいつがやったんならしょうがないだろ、みたいな。これはすっごくやりたいですね。
── 映像のラストや公式サイトでは、「映画化、まったく未定」という言葉が非常に強調されていますが、堤監督と言えばこれまでに何度かこういった予告を翻してこられた過去もあるため、より一層視聴者の間では完全映画化への期待が高まっています。もし今後実際に本作を長編映画化するとなった場合、更に挑戦してみたい表現などはございますか?
堤監督:もし長編が決まってこれ以上の映像にするのであれば、映画「ゼログラビティ」ぐらいまで作り込んだほうがいいんじゃないかなと思います。
穴に落ちていく人に寄り添うようなカメラワークや、巨大な人工建造物をもっと立体的・多角的に、もっと生きている感を出すために長いカットで構成できたらより面白いのではないかと思います。
── 最後に映像とこの記事を見る読者の皆様にメッセージをお願いします。
堤監督:原作が続く限り、映画化のアプローチは続けていきたいです。皆様、楽しみに待っていてください。
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