あるところに、それはそれは美しい国がありました――まるで童話のような語り口で始まる星海ゆずこ(@cocoyuzu7777)さんによる創作漫画がTwitterで「ドキドキした」「とてもステキなお話」と話題になっています。美しい国の人々は年をとっても姿は老いない。その理由は“人魚を食べる”ことにありました。
18歳になると食べることが解禁される人魚の肉には、不老効果に加えて肥満防止や美容にも効果があり、1回の食事で24時間持続。そのため、この国の人たちは毎日人魚を食べることで美しさを保っています。
そんな人魚を独占する国で生まれた主人公・ルキも、18歳になって最初に食べる人魚の料理は何がいいかという話題を学校の友だちと話していました。するとある日、海で釣りをしていた彼(※)は、“養殖の人魚”ではない“純血の人魚”と出会います。
※ルキの性別については描かれていませんが、この記事では無性別の人魚とともに「彼」としています
ルキは釣り上げた人魚を持ち帰り、お父さんの「美味しくなるよう面倒見るんだぞ」という約束とともに許可をもらってペットとして飼うことに。しかし目が覚めたその人魚は、彼が知っている養殖の人魚とは違って流ちょうにしゃべり、ララシュバルツという名を持ち、753年も生き続けていると話します。そしてこの出会いとその後のララとの日々によって、ルキの気持ちは変わっていくのでした。
物語では、人魚と仲良くするルキに対して「人魚って食べ物だぞ?」と疑問を感じる友だちとのやり取り、また金銭的な理由で人魚を食べられない生活になった両親が、自身の見た目の変化によって態度まで変わっていく様子などが描かれます。漫画のタイトルでもある『美しい国』に生まれ、「この国は世界で一番美しい」と思っていたルキ。もちろんこれは架空の世界のお話ですが、彼がその中で悩んだり、恐れたり、何かを大事に想ったりする姿には、共感し、強く心に残るものがあります。
星海さんのTwitterで全30ページで公開された同漫画には多くのいいねが集まっており、コメントの中には純血の人魚のララが語った“ヒミツ”や、ラストの展開を考察するリプライも寄せられるなど、さまざまな反響を呼んでいます。
画像提供:星海ゆずこ(@cocoyuzu7777)さん
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