パワポやExcelのグラフを色弱者にも分かりやすくするセットを有志が無料配布 作者「将来は標準設定に」
日本人男性の約5%、女性の約0.2%は特定の色の識別に苦手を抱えています。
プレゼン資料の作り方を解説した本の中で、色を効果的に使ったグラフやスライドが「良い例」として紹介されることがあります。
ですが色を多用したプレゼンテーションには落とし穴も存在します。日本人男性の約5%、女性の約0.2%は特定の色の識別が苦手とされており、そうした色弱者にとっては「むしろ分かりにくいデザイン」になってしまう可能性があるのです。
カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長である伊賀公一さんは、前述の問題を解決するために、PowerPointやExcelの配色セットを「誰にでも分かりやすい色」であるカラーユニバーサルデザイン(CUD)に変更する方法を公開しました。
その方法とは、Microsoft Officeの書式設定を一括で変更する「テーマ」機能を使うというもの。CUDO公式サイト上で配布されているテーマ(.xml形式ファイル)をダウンロードし、PowerPointやExcelにインストールすることで、誰にでも分かりやすい配色セットでプレゼン資料を作れるようになります。なお、こちらはまだ実験的に公開されているものなので、使用する場合は自己責任で。
インストール方法
Excel:「ページレイアウト」→「テーマ」→「参照」の順に選択し、ダウンロードした.xmlファイルを読み込む
Word:「デザイン」→「テーマ」→「参照」の順に選択し、ダウンロードした.xmlファイルを読み込む
PowerPoint:「デザイン」→「テーマ一覧」→「参照」の順に選択し、ダウンロードした.xmlファイルを読み込む
テーマは2種類公開されており、ひとつは「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」を使った配色セット。もうひとつは標識などに使われている「新JIS安全色」を使った配色セットです(関連記事)。前者は一般のプレゼン資料用、後者は安全に関係するデザインを作る際の使用が勧められています。
伊賀さんは、背景が白い場合に黄色が見にくいといった問題は残っているとしつつ、今後は利用者からの意見を取り入れながら、将来的にはマイクロソフトにこうした機能を標準設定にしてもらうよう働きかけていきたいとしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 一般色覚者にはほぼ分からない“小さくて大きな違い” JIS改訂で「日本社会における色のルール」はどう変わったのか
標識などに使われる「安全色」が変わったのですが、多くの人は気付いていないはず。 - 色覚障害のおじいちゃんに色覚補正メガネをプレゼント 66歳で初めて見る光景に思わず涙
おじいちゃんの感激している様子にじーんと来る。 - 「色覚検査の攻略本」「本当は効かない色弱治療」はなぜ存在したのか 進学・就職制限を受けてきた「色弱」の歴史とこれから
カラーバリアフリーの取り組みを行う団体・CUDOに話を伺いました。 - 「赤ペンはむしろ見にくい」「プレゼン本の『良い例』は良くない例」 色弱者に聞く“本当に見やすいデザイン”とは?
カラーユニバーサルデザイン機構に話を伺いました。 - 「絵の数字が見えない場合ADHD、発達障害、LGBTの疑い」2011年のデマ再拡散 検査表本来の用途を医師に聞いた
明らかにデマ。