ピクサーの極意を科学で斬る「PIXARのひみつ展」を見てきた:バズ、マイク、ニモに命を宿すには?(1/2 ページ)
ピクサーがアニメーションを作る工程を実際に体験しながら学べます。
1995年、バズ・ライトイヤーやウッディが登場した「トイ・ストーリー」の衝撃は今も忘れることができません。長編アニメーションとして初めて全編CGで作られたこの映画は、ジョン・ラセター氏をはじめとするCG研究者たちの集団、ピクサー・アニメーション・スタジオによって作られました。
もともとアニメーションという言葉は、「魂」のラテン語、アニマに由来しているといわれます。命のないものに命を吹き込み、動きを与えるというアニメーションを、CGの世界でも実現したピクサー。その作品を“科学”と“技術”で紹介するイベントが、2019年4月13日より六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで開催の「PIXARのひみつ展」です。
2015年にボストンサイエンスミュージアムで開催された「The Science Behind PIXAR」が満を持してのアジア初上陸。硬派(?)なイベントを一足先に体験してきました。
アニメーション制作を8つの工程で紹介
今回の展覧会は、ピクサーがアニメーションを作るために行っている8つの工程をもとに、実際に体験しながら学べる構成になっています。単なる展示だけでなく、実際にボタンを押してライティングによる印象の違いで感情がどう変化するかを学んだり、パネルを操作してモデルの動きをチェックできます。
ピクサーが映画を作るプロセスは下記の8つ。
- モデリング “キャラクターの形を作る”
- リギング “キャラクターの動きを作る”
- サーフェイス “髪や服などの外見を決める”
- セット&カメラ “物語の世界をつくる”
- アニメーション “キャラクターを動かしてみる”
- シミュレーション “キャラクターの髪や服を動かす”
- ライティング “昼や夜などの明かりを調節する”
- レンダリング “映画館などで楽しめる状態にする”
会場の六本木ヒルズ3階でこれらの概略を楽しい映像で学んだ後、52階の本会場エントランスで「インサイド・ヘッド」のヨロコビのシーンでプロセスを視覚的に体験できます。
会場はビルの展望台をぐるりと回る形で進み、これらのプロセスを次は「体感して」学ぶことができるようになっています。例えばリギングはパネルに設置されたレバーを動かし、トイ・ストーリーに登場するジェシーの表情を実際に作ってみることができます。ピクサーのアニメータと同じ体験ができるというのは面白いですね。
また、ピクサー作品のオープニングで登場するランプ、ルクソーJr.を少しずつ動かしてストップモーションを作る体験ブースもあります。このように、多くの展示が操作パネルを実際に動かしてその結果を見るような展示で、子どもが楽しく学べるアートイベントになっています。
最終段階のレンダリングでは、これまでの成果を数学的計算により2Dイメージに変換。しかしあまりに緻密に作りすぎると、レンダリングの時間が長くなり最終結果確認まで時間がかかってしまう。この展示では計算量の多さをヒートマップで確認ができるようになってて、どこにCPUパワーが必要かが分かる
少々気になるのは、体験ブースが混雑するかもしれないということ。展示されている体験ブースは2〜3つずつ用意されているものもあるため、少し待つかもしれませんが体験しやすくなっています。また、後述する早期開館イベントも用意されているので、絶対にすべての体験をしたい!というかたはぜひチェックしてみてください。
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