山P&菜々緒のダブル・ドSに虐げられる濱田岳という構図が定着してきた金曜ドラマ「インハンド」(TBS系・金曜22時〜 Paravi配信)第2話。
ド変態な寄生虫学者・紐倉哲(山下智久)の助手として雇われたことによって、ますます雑な扱いを受けるようになっている高家(濱田岳)。特に上下関係ないはずなのに、ドSにガンガン突っ込んでくるサイエンスメディカル対策室の牧野巴(菜々緒)。3人のワチャワチャしたやりとりでテンポよく進行していくが、事件はヘビーな内容だった。
第2話のあらすじ
1900年代初頭にニューヨーク市周辺で家政婦をしていたメアリー・マローンは、腸チフスに感染しているのに症状が出ない体質だったため、無自覚のまま周囲に細菌をまき散らし、多数の感染者を出してしまった。今回はその「腸チフスのメアリー」をモチーフとしたストーリー。
日本ではまだ感染例のない「ハートランドウィルス」の集団感染が発生した。本来は、日本にはいない「シカダニ」に刺されることによって感染するウィルスだが、感染者たちからはシカダニに刺された跡が見つからない。
そこで浮上してきたのが、自身には症状が出ないまま周囲にウィルスをまき散らしてしまう「スーパースプレッダー」の存在。紐倉たちが調査を進めると、母親がハートランドウィルスに感染し亡くなってしまった、少年・金井渉(込江大牙)にたどり着く。
「僕たちの未来のために生きてくれ」山Pが未来を語る
感染源である犯人「スーパースプレッダー」探しは、多少のひっかけはあったものの、あっけないほどサクサク解決していたが、本当の問題は、母親や知人たちに病気を感染させ、殺してしまったという事実と、渉がどう向き合えばいいかということだ。
高家や牧野が感染をおそれ、渉に近づくことができない中、紐倉は、自分の右腕がなくなったのは飼い犬の病原菌のせいだと語る(嘘らしいが)。
「悪いのは犬じゃない、病原菌だ」
紐倉は、第1話でも「憎むべきは人じゃない、シャーガス病そのものだよ」と語っていた。寄生虫にしか興味のない変態なのに、人間にもだいぶ優しい!
「でも忘れないでくれ、お前は人類の希望だ」
ハートランドウィルスに感染しても症状が出ないため、無自覚にウィルスをまき散らしてしまった渉だが、「症状が出ない」ということは、ウィルスに対する抗体や免疫が備わっているとも言える。
「僕たちの未来のために生きてくれ」「お前は兵器なんかじゃない、僕たちの救世主だ」
第1話も第2話も、病気によって身近な人を亡くしてしまった人が犯人。事件としては解決しても、後味の悪い結末だった。しかし紐倉は「未来」を見ることで希望をつなごうとする。
紐倉自身が何らかの事情で右手を失ってしまったことも不幸だが、カッチョいいロボットハンドになったということは希望のある「未来」だ。ロボットハンドだからこそ、触るとウィルスに感染する恐れがある渉の手を握れるし、頭をなでられる。
キャラ立ちはするものの、今のところロボットハンドである必要性はあまり見つからない原作漫画に対し、ドラマ版ではロボットハンドの特徴を積極的に活用している。第1話では、手首をパコッと外して拘束から逃れてたし!
ハートランドウィルスのドラマ内設定にモヤモヤ
難しい役に挑んだ子役・込江大牙くんのいじらしい演技に引き込まれた第2話だったが、いかんせん「ハートランドウィルス」の設定があやふやでモヤモヤしてしまった。
今回、テーマとなった「スーパースプレッダー」だが、本来、このような現象が起こるのは、腸チフスのように人から人へ伝染する感染症に限られる。本作では、「ハートランドウィルス」が突然変異して感染力が高まり、人から人への接触感染もするようになったという設定になっていたが、実際には「ハートランドウィルス」が人から人へ接触感染することは考えにくいという。
また、ドラマ内設定として、接触感染はするが空気感染や飛沫感染はしない(だからこそ、だいぶ近くにいた紐倉や高家は感染しなかった)ということになっているようだが、感染シーンでモワモワ〜っと煙が広がって伝染していくようなエフェクトが使用されており「空気感染するの!?」と混乱した。
架空のウィルスだったらともかく、「ハートランドウィルス」は実在する。リアリティを出すために、実在するマイナーなウィルスの名前を使用しつつ、ストーリーに合わせて「接触感染する」という設定を取り入れたのではないかと思うが、今のところ日本では感染例がない、なじみのないウィルスだけに、今後、日本上陸してしまった時に「あーっ、あのドラマで見たウィルス!」と思ってしまう可能性は高い。
その際に「ハートランドウィルスは接触感染する。なんなら空気感染もするかも」という誤ったイメージを持たれてしまいかねない。医療をテーマにしたドラマでもあるし、ネット経由で変な情報の伝わり方をすることがある時代なだけに、その辺はもうちょっと気を遣ってもよかったのでは!?
北村ヂン
文章からイラスト、漫画、映像まで、あの手この手でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうハイパーメディアライターTwitter
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