ニュージーランドのピザチェーン「Hell Pizza(ヘル・ピザ)」が、新商品のパティ(円盤状の焼いたひき肉)にこっそりと通常の肉ではなく植物由来の肉を使用し、客が違いを見抜けるか試したと発表し、一部の利用者が激怒しています。海外の報道では、ひそかに「フェイクミート」を使用したことで公正取引法違反となる可能性を指摘しています。
Hell Pizzaの発表によれば、6月21日に同社はミディアムレアバーガーパティを使用したとうたう「バーガーピザ」を発売。27日に、3000枚売れたこのピザが、ミートフリー(肉を使っていない)ピザだったことを明かしました。
同社では、今年に入ってから3万5000枚以上のビーガンピザを販売しており、ミートフリーなバーガーピザを提供した理由について、「持続可能な食物の選択についての意識を高めたい」と述べています。現代社会に対する主張やアプローチは人それぞれですが、問題と指摘されているのは、ミートフリーと明かさずに提供してしまった点。
同社のジェネラルマネジャーを務めるベン・カミング氏は「多くの人がフェイク・ミートというアイデアを敬遠するので、ミートフリーの素材を使用していることを明らかにしませんでした。その理由は誰もが(通常の肉と同じように)おいしく食べることができるはずだと思っていたからです」とメディアにコメントしています。
味には問題ないようで、「バーガーピザ」を食べた人からの評判は良好。Hell PizzaのFacebookページでは「The Burger Pizza!」と題したPR動画を公開しており、ミートフリーバーガーピザを試食する人たちのリアクションを見られます。「バーガーピザ」という新作として味わってもらい、完食後にピザの上にのっていたバーガーパティは植物由来の肉であることをネタばらし。試食した人たちは、肉らしいうまみであったことから「本当かよ」「信じないぞ」とうれしそうに感想をこぼしています。
「バーガーピザ」のPR動画には1000を越える反響が寄せられており、約8割が高評価ですが、2割の人は「ひどいね」という反応を寄せています。動画のコメント欄には「最高においしかった」などの好意的な意見がある一方で、一部では「こんなPRは本当に最悪だ」という批判も。今回のPRについて、海外メディアでは、「誤解を招く」という理由で公正取引法違反の可能性があるという弁護士の意見を紹介しています。また、特定の野菜にアレルギー反応を起こす人がいることから、内容物を明かさずに食品を提供することは危険だという指摘も出ています。
今回のピザに使用されたパティはビヨンド・ミートが開発する「ミディアムレアバーガーパティ」とのこと。ビヨンド・ミートは植物由来の人工肉を製造している米国企業で、レストランだけでなく一般家庭用の製品も販売し、注目を集めています。
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