「あー疲れた」──。仕事を終えた帰り道で、まだ仕事に励むはたらくトラックを見かけるとふとあのテレビCMを思い出します。
あの音楽はなぜか私を「明日も頑張るか……」という気分にさせてくれます。気が付いたらなぜか口ずさんでいるのです。
なぜいすゞのトラックは私の気分をアゲてくれるのでしょうか。神奈川県藤沢市にいすゞ自動車(以下、いすゞ)の企業博物館「いすゞプラザ」があるというので、早速行ってみました。
いすゞ自動車の歴史を楽しく学べる企業ミュージアム「いすゞプラザ」
いすゞプラザは、いすゞ自動車創立80周年記念事業として2017年にできた企業ミュージアムです。いすゞ自動車藤沢工場に隣接した場所にあり、いすゞ自動車の歴史、生み出してきた車両、そしてそれらの車両がこれまでどのように社会に関わってきたのか、そして将来もどう関わっていくのかを学べるようになっています。
車両の展示はもちろん、模型や3Dグラフィック、プロジェクションマッピングなどを用いながら楽しめる、ゲーム感覚でテーマパークに劣らない凝った展示も多いので、「乗りもの好き」のお子さまとその家族にも人気だそうです。
展示車両は、いすゞの現行車種である小型トラック「エルフ」、中型トラック「フォワード」、大型トラック「ギガ」はもちろん、日本のトラックと自動車物流の先駆者とされる1924年(大正13年)製のトラック「ウーズレーCP型トラック」、日本におけるディーゼル乗用車の礎を築いたとされる「べレル」などなど。時代時代のさまざまな車両が館内各所に置かれています。
2019年で60周年を迎えるロングセラー車「エルフ」
館内1階の中央広場に、一番目立つ部分に置かれているのがエルフです。やっぱりこの愛嬌のある顔が良いですね。
2019年6月時点の現行エルフは、2006年に登場した6代目です。1959年に登場した初代エルフは広いキャビンと大きな視界によって、当時の運転手から「運転のしやすさ」で特に高い評価を受けました。その後モデルチェンジを重ね、1978年には国内累計登録台数が100万台を突破します。エルフは世界各国にも輸出されています。その信頼性が買われ、南極観測隊が極寒の南極で使用しているほどです。
現行のエルフは、乗用車顔負けの先進安全運転走行支援装備も備えます。例えば、前方の歩行者や障害物を自動で探知する「ステレオカメラ」。2019年現在は多くの他モデルが、1つのカメラとミリ波レーダーを組み合わせた機能であるのに対し、市街地での安全走行を重視したエルフは、2つのカメラで取得した視差情報から、前方の車両や歩行者の距離や位置を高精度に識別できるという最新型車載用ステレオカメラによるセンシング技術によって、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離警報、車線逸脱警報、先行車発進通知機能、誤発進抑制機能などの安全機能を実現します。
特にこのカメラを活用した自動ブレーキシステム「プリクラッシュブレーキ」は現行エルフの強みです。トラックの役目は「荷物を安全に正しく運ぶこと」。ドライバーがとっさの判断で行う急ブレーキは、事故を緊急回避できたとしても、積み荷が崩れて損害となる事態にもなり得ます。プリクラッシュブレーキは「そのどちらも回避する」ためにあります。ドライバーの操作に応じて前方の障害物との距離や車速などを瞬時に計算し、距離が遠ければ緩やかに、本当に近ければ急ブレーキを、といったように制動力を自動調整します。「人と荷物の保全」のために、誰もに起こり得る人の判断ミスを賢く補佐してくれる頼もしい機能です。
併せて、エルフの扱いやすさは納入企業、架装業者にも高く評価されているそうです。いすゞのトラックは「架装部分はお客さま(納入企業)のもの」という精神から、架装部分をできるだけフラットにしています。荷台の拡張性が高く、作りやすいので、「ニーズが多様化する運ぶ業務」のためのオーダーにも対応していきやすいということでしょう。
いすゞのトラックに搭載されるコネクテッド機能「いすゞPREISM(プレイズム)」にも注目です。いすゞPREISMは、稼働する車両の状況を通信経由で常に把握する「つながるトラックとネットワーク」を実現するサービス。消耗品類の状況、故障の予測や早期検知、オペレーター相談、部品注文、修理部品のあるサービス拠点の予約を行う──といったことを、シームレスにドライバーのスマホアプリや事業所拠点などで管理できるようになります。
ドライバーを補佐しながら故障による事故やトラブルの発生率を低減し、人手不足も補いながら、営業できないダウンタイムをできるだけ短くするための、新たな世代の物流に欠かせない機能と言えます。
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