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「あいさつ代わりに組み手を仕掛け合う」 オリンピックをガチで目指していた人に“あるある”を聞いてきた(レスリング編)(2/4 ページ)

頂点を目指す者たちの世界。

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グレコローマンスタイルとフリースタイルって何が違うの?

――2種類あることはなんとなく分かるんですが、何が違うんでしょう?

 ざっくり言うと、グレコローマンは足への攻撃がNGで上半身のみを使う競技です。なので足へのタックルなどはナシ。フリーは文字通り自由で、全身が使えます。子供の頃から始める場合はフリーのみで、高校に入学する段階でフリーを続けるか、グレコローマンへ転身するかを決めることが多いです。

――じゃあ、高校入学と同時にレスリング部に入る場合、グレコローマンになるんでしょうか?

 ええ、柔道部からレスリングへの転向はあったりして、高校で初めてレスリングをする選手も多いですよ。その場合はグレコローマン一択でしょう。フリーの選手がグレコローマンに進むことはできても、逆は厳しい。高校からフリーに挑戦しようにも、小さい頃からフリーをしてきた選手にはかないませんから。例えるなら、ボクシング選手がキックボクシングには即対応できないようなものです。



David MarkによるPixabayからの画像

レスリング選手にとっての減量の苦しみ

――体重による階級がある競技ですから、きっと減量ってつらい……ですよね?

 つらいです(笑)。選手は試合前は既定値の7〜8kgくらい超えていることが多いんですが、ざっと10日で7〜8kg落とします。これはふつうです。

――10日で7〜8kg減がふつうですって??

 練習1回で2〜3kgは落ちますからね。冬場だと1.5kg、夏は3kgは落ちます。ただ、最後のギリギリの追い込みになってくると、最終手段としてとにかく汗を出して水分を抜くことで計量をクリアするしかありません。計量は大体試合前日の夕方17時くらいに行われまして、そこさえクリアすれば試合当日は体重が増えていても構いません。

――計量のタイミングまで頑張ると。

 計量直前の選手なんて、肌はカッサカサで肋(あばら)が浮いて、目玉が飛び出さんばかりの顔つき。表現がアレですが、「危ない薬でもやっているんじゃないか」ってなかんじの悲壮感あふれる雰囲気を醸してます。

 水分摂取を極限まで我慢するとおかしな行動をしはじめまして……寝ているときふと気がついたら、冷蔵庫の前でペットボトルを握って立っていた、とか。

――こぇぇ……夢遊病の一種? でも計量さえクリアすれば何を食べてもいい、と。

 まあ、胃が受け付けないから急には食べられませんけど。ただ、計量後に飲む水分のうまさは世界一だと信じています。あれよりうまい水を僕は知りません(笑)。

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