玉川大学脳科学研究所は8月20日、世界で初めて「働いた後のビールはうまい」と言われていた現象の脳内メカニズムを発見したと発表しました。また実験により、「努力したほうが学習は進む」ことが明らかになったとのこと。
研究を行ったのは、玉川大学脳科学研究所の坂上雅道教授、田中慎吾特別研究員(新潟大学助教)、John P. O’ Doherty客員教授(カリフォルニア工科大学教授)。同研究では、ニホンザル2頭を使い、報酬を得るためのコスト(努力)がその報酬の価値を高めるのかどうか、ハイコストvs.ローコスト課題でそれぞれの反応時間を調査。すると、サルはハイコスト試行を嫌うことがわかりますが、努力後の報酬刺激に対する反応時間は、ハイコスト試行の方が有意に早く、ハイコスト試行の報酬の方(※報酬量は同じ)を好んでいることがわかったとのこと。
また上記の課題遂行中に、サルのドーパミンニューロンから電気信号を記録・解析。すると、ドーパミンニューロンの報酬予測誤差応答は、ハイコスト試行での報酬の方が価値は大きいという反応を示したとのこと。
※ドーパミンニューロン……中脳にあるドーパミンを神経伝達物質として放出する神経細胞。報酬に基づく強化学習に重要な役割を果たしていると考えられている。
さらに続く実験で、サルが課題を学習することとコスト有り無しの関係を調査したところ、コストがある方が有意にこの学習を促進することがわかったとしています。発表では同現象の発見について、「社会や家庭、学校での教育のあり方を再考する契機となりうるものと思われる」と考えを述べています。
今回の研究成果は、科学雑誌「Nature communications」に掲載されています。
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