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Twitter、スワイプ式のリスト新機能や“クソリプ”非表示機能をテスト導入 「いかにして健全性を高めるか?」中の人に聞いた(2/2 ページ)

新機能よりも「会話の健全性」を強調。

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 直接聞いてみたところ、コールマンさんからは「実際私自身もTwitter上で見かけることがあるので、問題はよく認識しています」という率直な意見が。

 さらに「違反投稿を申告しやすくする改善も行っています。申告に基づき対応する部隊があり、そこは今年(2019年)からこれまで以上に強化しています」と、Twitter Japan政策広報部担当者※からの補足もありました。このあたりの対策が実を結んでいくのかどうか、今後も見守っていきたいところです。

※ポリシーや安全面にまつわる案件の広報担当


日本特有の使われ方

 健全性という観点で、日本ではどのような使われ方が目立つのか、ユーザーの動向を調査する部門の山内清稔さんによるプレゼンも行われました。最近の調査により、3つの特徴が分かったといいます。

スタッフユーザーリサーチャーの山内清稔さん

 まず、日本ユーザーの最大の特徴は「匿名性が重要」であるという点。これは、いわゆるプロフィール画像の違いによく現れています。米国ではユーザーが自身の顔などをアイコンに設定することが多いですが、日本では好きなアニメキャラクターや、ラーメンといった、趣味にひも付いたものを設定しがち。複数のアカウントを作り、「ラーメン好きな自分、k-popが好きな自分、プロフェッショナルな自分……」というように使い分けるユーザーが多いのも特徴。

 リアルではしがらみにより本当の意見が言えなかったりしますが、Twitter上ではそうして形成された趣味などのコミュニティー内で自由に発言できるようになります。こうして、健全性にかかわる投稿が行われる可能性が見受けられるのだとか。

 第2に、フォローに伴う価値観が日本と海外ではやや異なるという話も出ました。いわく、日本では自分と相手の関係性ではなく、「その人の情報に価値を置く」ユーザーが多いとのこと。

 これは逆にいえば、フォローを外すことをためらわないユーザーが多い(=健全性に関係する)ことも意味します。米国ではお互いに本名が分かる形で利用する場合が多いため、「フォロー外し」はリアルな生活に影響を及ぼす可能性があり、それなりに決意をもって行う必要があります。それに比べ匿名同士であれば、ちょっと嫌に思われる程度で済むため、気軽にフォロー外しができたりします。

 最後に、ファン同士のつながりが強い点も挙げられました。国際的に見ると、例えば有名歌手などを直接フォローして、その著名人が何を言っているかを追うことが主流。一方日本ではファン同士のつながりが強く、そこから広がる連鎖的なフォローが目立つそうです。そうしてファン同士で仲が良いが故に、意見が違った瞬間に健全性にかかわるようないざこざ起きたりもするケースが紹介されました。


インセンティブにより健全性を高める

 今後、こうした健全性を脅かす空気をどうやったら改善していけるのでしょうか。記者側から出た「(Twitterでは)『怒り』のエネルギーが伝播しやすい」「怒りのエネルギーじゃないほうがインセンティブが大きい、みたいな誘導はできないものか」という意見に対して、コールマンさんは「『インセンティブ』という言葉が聞けたのは面白いですね。実はわれわれも社内でその言葉をよく使っています」と反応。

 インセンティブを与える方法として、既にいくつか試案があるそうです。1つは、どんなツイートを重み付け(Amplify)するか。通常はフォローしているユーザーのツイートしか見えません。しかしおすすめツイートや、検索で何を上位に表示するか、大量のリプライの中でどれを上位に表示し、何を下位にするのか。あるいは機械学習を用いて、違反アカウントと同様の振る舞いのアカウントを「Amplify」しない、といった施策を試みているそうです。

「インセンティブ」という言葉はTwitter社内でもキーワードとして使っているらしい

 また、「リツイート」や「いいね」には良い側面と共に、負の側面もあります。プロトタイプ版twttrであえてリツイートやいいね数を見せていないのは、「リツイートやいいねは必ずしも重要なインセンティブと考えていない」ためだといいます。

 もう1つ興味深い施策として、リプライを寄せられた側が生産性がないリプライだと判断した場合に、そのリプライを見えなくするという機能も紹介されていました(関連記事)。現在はカナダ限定で試験中というこの機能。「これがベストかは分かっていません」との前置きの通り、ひとまずはユーザーの感触を確かめている段階だそうです。果たして“クソリプ”撲滅の救世主となるのでしょうか。


 なまじ旧来のTwitterに親しんでいると、新機能が来るたびについ拒否反応を示してしまいがちです。とはいえそれがトライアンドエラーの一環なのだと思えば、試用してみるのも一興と思えるようになるかもしれません。今後のさらなる改善に期待したいところです。

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