未来の街乗りEVをイッキ乗り! 東京モーターショーで「超小型モビリティ」に乗ってみた【写真55枚】(3/4 ページ)
きゃっほー。ここは「かなり楽しい穴場」かもですよ。
軽自動車に近い4人乗りの超小型EV「FOMM ONE」
FOMMが製造する「FOMM ONE」は、「4人乗り」に対応する小型EVです。
FOMM ONEは今回試乗する車両で他にはない機能や工夫を幾つか搭載しています。
まずボディーは、仮に水害に遭遇しても水に浮かぶ構造となっているそうです。また、4人乗車対応(前2人、後ろ2人)なだけでなく、エアコンも普通に搭載します。後席は確かに狭いのですが、子ども用、あるいは駅までの数分くらいならばガマンできる範囲です。それより普段使いにおいては、買い物荷物の置き場として重宝することでしょう。これがあるのとないのとでは恐らく利便性がかなり違います。
幅は軽自動車よりも185ミリ狭いですが、一般的体形の大人2人が乗っても、肩が触れるほど狭くはありません。意外と大丈夫です。
アクセル操作は少し特殊です。アクセルは指操作。ハンドルの左右にあるパドルシフトのようなレバーを引くと機能します。レバーの機能は左右どちらも同じです。ブレーキは一般車と同じ足操作。フロアにはブレーキペダルのみがあります。アクセルレバーを離すと回生ブレーキも効きます。
説明員によると、足元スペースを広く使うことに加えて、「誤操作を防ぐため」が目的です。アクセルとブレーキを踏み間違えるパニック事故は、同じ「踏む」動作が並んでいるがゆえに起こりやすくなるものの、今さら仕様を大きく変えられない、自動車が抱える課題の1つ。新しい乗りものということで、操作対系を完全に分ける思い切りのよい設計ができました。
使い勝手、乗り心地ともに、今回試乗した超小型モビリティの中では、もっとも普通の自動車に近いと感じました。
2019年10月現在、FOMM ONEはタイで販売。車体サイズは2585(全長)×1295(幅)×1565(高さ)ミリ。最高速度は時速80キロ、航続距離は160キロ。タイでの参考販売価格は66万4000バーツ(約230万円)です。日本販売は未定ですが、今後の反響や法制度策定の状況に応じて決めたいとしています。今後に期待です。
まるで馬車かトロッコ列車か ローランド・ベルガー「バトラーカー」
今回の試乗した中で、特にデザインで異彩を放っていたのが、ローランド・ベルガーによる2.5人乗りのEV小型モビリティ「バトラーカー」です。
バトラーカーのバトラーは、日本語で「執事」。自家用やシェアサービス向けではなく、ホテルや式場、神社仏閣などで客を乗せ、案内するためのおもてなし車両を想定して開発したそうです。車体サイズは2400(全長)×1100(幅)×1800(高さ)ミリ。最高速度は時速10キロで、航続距離は50キロです。
ベースはトヨタ車体のコムスだそうですが、なるほど、かなりワクワクするメルヘンな外観に仕上がっています。木の床やソファのようなシートを採用したインテリアは、「移動する部屋」の不思議な感覚をもたらしてくれます。また、車両は遠隔操縦にも対応。運転手なしに移動や配車管理が行えるよう運行管理システムも含めた提供を想定しています。
バトラーカーは、「客気分」で後席に乗車。ゆっくり速度で、ソファのような座席と明るい空間のおかげで、トロッコ列車や馬車に乗ったような心地よさがあります。スピードを出してほしくないと思わせる魅力を持っていました。
現状の壁は法整備、早期解消に期待
超小型モビリティは当初、カタチがちょっと違うだけで機能性や走行性能はどれも大体同じの小さいEVというか遊具のゴーカートのようなものと思っていました。しかし各車ともさまざまなテーマや利用シーンを想定し、かなり本気モードで開発しており、いずれも何かしらの強い個性や主張がありました。
2人乗り以上の超小型モビリティ普及における現時点の壁は「法整備」です。2019年10月現在、一般道は国交省の車両認証制度に基づく自治体の許可を得てようやく走れます。高速道路は走れません。安全基準も定まっていないことから市販できず、イベントでの体験車両やシェアサービス用としてごく小規模に導入されるくらいに留まっています。
しかし、小型で電動、気軽に運転でき、駐車スペースもコストも比較的少なくて済む、そして家庭で充電できる特長は、従来のクルマにはない短距離用の移動手段としてちょうど良いシーンが多くあります。
例えば、1人1台クルマを持つようなクルマ社会の街に住む家族のクルマとして。移動にクルマは必要だとしても、送り迎えやコンビニ・スーパーへ買い物に行くといった市内町内範囲、1日に多くて20〜30キロ走る程度の利用がほとんどならば──。そんな製品化と認知の拡充、利用する/共有するシェアサービスの一般化も含めて需要は増えていくと考えます。
どんな乗り心地か。自分だったらどう使うか──。実際に乗ると、どんなシーンで使えそうかを自身で具体的に想像できるようになって、ワクワクしてきます。東京モーターショーへ行くならば、ぜひ、この新世代の乗りものを体感してみましょう! 場所はシンボルプロムナード公園の「夢の大橋」付近です。
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