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たぶん世界初の“1200キロをロードバイク・90時間で駆ける腐女子”だと思います 『弱ペダ』で変わったあるオタクの人生(3/3 ページ)

「パリ・ブレスト・パリ(走行距離約1200キロ)」を完走した腐女子・PEKOさんにインタビューしました。

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「今の自分があるのは『弱ペダ』のおかげだと思います」

 「『弱ペダ』からロードバイクを始めた」というと、いわゆる“にわか”扱いを受けてしまうことがあって……。私も一時期隠してたのですが、「マンガからロードバイクに入る人がこんなにいるのはすごいことなのでは」という気持ちから、むしろ胸を張ってやっていこうと。

 そしたら、同人イベントなどでいわゆる“別カプ”の人から「自転車好きの人ですよね」と話しかけられたり、SNSでフォローされたりするようになったり。腐女子の世界では皆それぞれに好きなキャラのカップリングがあって、それが違う(別カプ)とあまり交流しないものなんですけど、どうやら私の描く『弱ペダ』の二次創作ではなく、ロードバイク乗りとして興味を持ってもらえるようになったみたいなんです。

 自転車を始める女性が増えた一方、女性向けの情報が少なかったので「みんな情報が欲しいのかな」と思いました。自分にできることを考えて、Twitterのアンケート機能を使って自転車乗りの女性から情報を集めた本を作りました。生々しい話ですけど「生理のとき、どうやって乗っているか」「化粧や下着はどうしてるのか」とか。

―― 求めていた人にはうれしい情報でしょうね!

 実際、イベントで配布したら喜んでもらえましたし、私自身も欲しい情報が手に入って助かりましたね。

 仕事面でも変化があって、もともと別名義で携帯コミックなどのマンガを描くことがあったのですが、ロードバイクを始めたら自転車雑誌から依頼がきたりもしました。

 それから、自作の輪行袋も頒布するようになりました。ロードバイク始めたてのころ「市販品の輪行袋は6000〜1万円。でも、初期費用ですでに10万円くらい使ってるからなあ」と自作してみたら、低価格&コンパクトにできたんです。周囲の評判も良かったので、知り合いに頼まれて同じものを作っていたら、口コミで欲しがる人が増えて。本業の合間に作っているので、今は生産が追いつかない状態です。


頒布情報などの詳細はWebサイトにて。ちなみに、輪行袋の自作にチャレンジしたきっかけは「たまたまカンボジアに行ったら、偶然にもぼったくりタクシーに絡まれている男性がいて、助けてあげたら何ということでしょう、ロードバイクのベテランで『自分が子どものころは親に輪行袋を作ってもらったりしていたから、自作でもいいんじゃない?』とアドバイスしてくれたから」だそうです。何ですか、その運の強さ

―― 「『弱ペダ』にハマる→ロードバイクにハマる→……」以降の変化、めっちゃ多くないですか?

 作者の渡辺先生にサイン会でお会いしたとき、「『弱ペダ』にハマったおかげで1000キロ走れるようになったし、自転車関係でお仕事をもらえるようになった。生活がめちゃくちゃ変わりました」と伝えたら、すごく驚いていらっしゃって。

 「もうそれ、『弱ペダ』関係ないですよ」と。

―― そこまで変わる読者の方が珍しいでしょうし(笑)

 いや、少なからずいるんですよ。すでに話した通り、レースで入賞したとか。先生はそういう人たちの存在を知りつつも、積極的に関わらないスタンスなんだと思います。

 私も先生を応援してるけど、認知されたくはないんです。あくまでもモブの1人として「すごく好きです」という気持ちだけ伝わればいいんです。

 今の自分があるのは『弱ペダ』のおかげだと思います。

―― 最後に。PBP完走後のロードバイクの目標は?

 当面の目標は「ランドヌール10000(走行距離が6年間で合計1万キロ)」という認定の取得、もっと長い距離を走れるようになることですね。

 一度のライドの最長距離が1200キロなので、2000キロなどにも挑戦していきたいです。そういえば、今度の4月、2700キロ走って日本縦断するブルベがあって出るべきか悩んでるけど……。

―― うわ、めっちゃ距離長いですね……

 いや、日程がコミケとカブってるんです。オタクとして外せないイベントだから、どうしようかなあ、と(笑)。

画像提供:PEKOさん(@ab_peko

連載:オタクの幸せ

 この記事は、ねとらぼとYahoo!ニュースによる共同企画記事です。何が自分の幸せか、何をして喜ぶのか。幸せにはさまざまな形があり、周囲と同じものになるとは限りません。人生に悩む人も多い現代社会で、他人とはちょっと違うところに没頭し、我が道を行く「オタク」な人々に話を聞き、豊かな人生の歩き方を探ります。

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