「同期のサクラ」このドラマが持つメッセージは何なのか? 「自分の人生だけでいっぱいいっぱい」の残酷な展開に救いはあるのか(2/2 ページ)
寄り添うべきサクラに依存し、尻を叩き続ける同期4人……。
仲間より、自分の人生でいっぱいいっぱいになる
8話はターニングポイントになると予想していた。同期がサクラを救い出し、5人の絆を再確認できると思っていたのだ。
引きこもるサクラの部屋に4人それぞれが直筆の疑似FAXを送る場面には救われた。サクラに無償の愛を注ぐ柊作を思い起こさせるFAX仕立てのメッセージは泣けた。
同期4人(&すみれ)にとってサクラは道しるべだった。「月」村百合、「火」野すみれ、清「水」菊夫、「木」島葵、「土」井蓮太郎たちは、「北」野サクラという北極星に行き先を示されることで安定を保っていた。FAX作戦を見る限り、サクラのやってきたことは無駄ではなかった。
反面、同期4人はサクラを放置していた期間が丸々1年ある。葵はサクラにこんなセリフを言った。
「毎日仕事だって大変だし、自分の人生生きてるだけでいっぱいいっぱいなんだからさ」
今夜放送9話の予告を読むと、8話以上に残酷な展開になることは必至だ。
「貯金も底をつき、コンビニでアルバイトをしながら就活を続けるサクラだが、同期の悩みを聞こうと、鍋パーティに誘う。当日、一人準備するサクラの元に同期から次々と欠席の連絡が。そして、自分たちで問題を解決していく同期に無力感を覚え〜」
「自分の人生だけでいっぱいいっぱい」な仲間4人とサクラの距離はさらに広がる。ドライな未来が待ち受けているということ。
「同期のサクラ」とは、どんなメッセージを持つドラマなのだろう。「辛いことはたくさんあるけど、明日も頑張ろう」とパワーをくれる作品だと思っていた。しかし、風向きがいつしか怪しくなった。
サクラは夢を失い、社会に潰されかけている。ということは、「現実は厳しい」を訴えるドラマになる? でもそんなの、我々は毎日嫌というほど直面している。ドラマにしてまで、わざわざ味わう必要があるだろうか。今のままなら、正直者がバカを見る希望のない作品になってしまうのだが。
サクラは散りゆく運命にあるのか? 最後には「このドラマを見てきて良かった」と思わせてくれることを願っている。
寺西ジャジューカ
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