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高畑充希「同期のサクラ」橋の夢は壊れ、じいちゃんを喪ったサクラ でも「正直者は報われない」のままでは終わらないはずだ(1/2 ページ)

黒川(椎名桔平)の思惑が働いていた?

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 11月20日放送「同期のサクラ」(日本テレビ系)第7話で、救いのない出来事が次々と北野サクラ(高畑充希)を襲った。でも、彼女の歩む人生は酷な運命だけではないと思いたい。


同期のサクラ サクラたちが入社して7年目 イラスト/まつもとりえこ

「皆さんが命を落とすような可能性がある橋を造るわけにはいきません」

 2015年11月、北野サクラ(高畑充希)はかつての上司・黒川森雄(椎名桔平)から本社に呼び出された。サクラの故郷の島にかける橋の基礎工事に対し島民が不安を抱いており、島民を説得してほしいとサクラは頼まれたのだ。

 その夜、土井蓮太郎(岡山天音)が火野すみれ(相武紗季)と付き合っていると発表した後、サクラの故郷を見るため同期全員で住民説明会へ行くことが決まった。サクラの実家では祖父の柊作(津嘉山正種)が自慢のコロッケを作って待っており、みんなで楽しい夜を過ごす。入社してからの思い出話に花を咲かせるサクラと同期の姿をホッとしたように見つめていた柊作は、サクラが席を外した隙に「わしはもうすぐ死ぬ。これからもサクラと仲間でいてやってください」と同期らに頭を下げた。

 翌朝、木島葵(新田真剣佑)は「基礎に注入するコンクリートの量が少なく、橋の強度が弱くなっている」とサクラに伝える。土木部部長の桑原(丸山智己)が予算を抑え、会社にアピールしようと考えたのだ。サクラに真意を尋ねられた桑原は「また一からやり直せば国はもうお金を出してくれず、橋の建設は完全に取りやめになる」と言い、立ち去ってしまった。悩んだ末にサクラは「皆さんが命を落とすような可能性がある橋を絶対に造るわけにはいきません」と島民に謝罪した。

 サクラが帰宅すると、柊作は亡くなっていた。柊作の葬儀が終わり、東京の自宅にサクラが帰宅すると、柊作が死ぬ前に送ったFAXが届いていた。

「桜は決して枯れない。たとえ散ったとしても、必ず咲いてたくさんの人を幸せにする」

 サクラは泣きながら「じいちゃんに会いたい。じいちゃんの作ったコロッケが食べてえ」とFAXを送り返すが、返信はない。サクラはFAXを床に叩きつけ、部屋で暴れまわった。数日後、心配した月村百合(橋本愛)がサクラのアパートを訪れると、「仕事に行かなくては」とサクラは部屋を出ていった。


同期のサクラ 同期たちがサクラの実家のある島にやってきた7話、じいちゃんを囲んで楽しい夕食だったが イラスト/まつもとりえこ

なぜ、柊作は入院しなかったのか

 サクラの実家で食卓を囲む同期4人は「悪口を言う」という名目で今までのサクラとの思い出を次々に話し始めた。花村建設に入社して以来、サクラが送ってきた悩み(FAX)と同期らが話す内容が、柊作の中で点と点で繋がって線になった。遠くからサクラに寄り添っていた柊作は“サクラの悪口”の全てが腑に落ち、思わず嬉しそうな表情に。

 サクラに席を外させた柊作は「サクラのことをよろしくお願げぇします」と頭を下げた。自分の体のことはわかっている。でも、この仲間たちがいれば身寄りのない孫を任せることができる。柊作は「育て方が悪かった」と自虐したが、柊作が育てたからサクラはこの4人と仲間になれたのだが。

 説明会から帰ったサクラは体の冷たくなった柊作に気付く。「病院で診てもらえ」という言葉には必ず聞こえないふりをしていた柊作。なぜ、彼は頑なに入院しなかった? 孫に心配をかけたくなかったからだろうか。それとも、サクラにFAXを送れなくなるからか。

 柊作がサクラに送った最期の言葉は「人間は一生、大人なんかになれねんだて。なる必要もねえ」。そして6話では「一番辛いのは自分に嘘をつくことだ」というFAXをサクラに送った。柊作からのメッセージを支えにしていたからこそ、「うちの島に橋をかけることはできねんだて」とサクラは島民に打ち明けたのだ。

黒川は全てを知りながらサクラを派遣した?

 7話で、サクラは究極の選択を迫られた。

 島に橋をかけることは島民の願い、そして両親を失わせた事故を繰り返さないためのサクラの夢である。夢があるから、つらい目に遭い続けても彼女は花村建設(花村ホーム)で頑張ることができた

 父と母の悲劇を繰り返さないための橋。ということは、耐久性が最も注意すべきポイントとなる。島民を危険にさらさないために、一番橋をかけたかったサクラが自らの手で夢を握りつぶしたのは皮肉だ。

 2019年、黒川は意識の戻らないサクラに「こんな風になったのも俺のせいかもしれないな」と言った。黒川は桑原の行った偽装に気付いていた可能性がある。説明会にサクラが行けば、彼女が真実を明かさないわけがない。新人研修で橋の模型の耐荷重に最後までこだわっていたのがサクラ、真っ先に耐荷重を確認しようとしたのは黒川だった。

 全てを見越した黒川がサクラに説明会参加を指示したとすれば、彼の裏の顔が冷たく感じる。サクラが自らの手で夢を壊したとしてもそれはそれ、という態度。でも、黒川はどうして「サクラって呼んでいいか?」とサクラに問いかけたのだろうか。


同期のサクラ サクラの同期たち相関図 イラスト/まつもとりえこ

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