食べられるゼータ関数
あと、「ゼータ関数を身体に取り込みたいな」と思って。
スポンジにいちごを載せて、クリームを塗り、「食べられるゼータ関数」のレシピをクックパッドにアップロードしました。
ちなみに、「ゼータ関数」で検索すると唯一出てくるレシピになっています。すでにつくれぽが3件ついていて、「好きな人っているんだな」って思いました。
会場:笑い
計算できるゼータ関数
こんな風にゼータ関数の楽しみ方ってたくさんあるんです。見る、触る、食べる……。もう1つは計算する、ですね。
この映像は今、ゼータ関数の3Dデータ上を移動しているんですが、見ていただきたいのはこのへんの断面。
負の偶数のところは「自明な零点」といって、全て値が0になるという特徴があります。
ですが、今日は負の奇数のところに注目します。ここはきれいな分数になっています。
- ζ(−1)=−1/12
- ζ(−3)=1/120
- ζ(−5)=−1/252
- ζ(−7)=1/240
- ζ(−9)=−1/132
普通に考えたら、「これ全部何分の1みたいな感じになるんじゃないの」という感じがするんですが、何か、こんなのもあるんですよ。
- ζ(−11)=691/32760
こういう風にゼータ関数の負の奇数の分子に出てくる素因数のことを「非正則素数」といいます。最小の非正則素数は37。次が59で、私の誕生日(5月9日)です。寒いな(3617)というのも非正則素数です。
ここにはいろいろと面白い性質があります。
例えば、ζ(-31)の分子は37で割れます。37から1引いた36を引いてあげると、ζ(-67)、ζ(-103)と続くわけなんですが、これらは全部37で割れるんですよ。つまり、どれも分子に37の素因数があるんです。
僕はこれを「ゼータ確変」と勝手に呼んでます。割れるやつがでてきたら、ポンポンポンポンって当たりが連発するイメージです。でも、正式には「クンマー合同式」という名前があります。
ところで、こんなのどうやって計算したらいいの、と。自分で計算できなかったら面白くないわけです。そこで「ゼータ計算機」というページを用意しました。
値を入れてあげると素因数を全部列挙してくれてこれが非正則素数だよと見せてくれる。そういうアプリケーションであります
例えば、ζ(−23)を入れると「103」「2294797」と出てくるんですが、この非正則素数には覚え方があります。
「ゼータの兄さん(23)、父さん(103)、ニンニク夜中食うな(2294797)」。素数大富豪(※)とかで使ってみてください。
会場:笑い
※素数大富豪:「基本的なルールは大富豪とほぼ同じだが、素数のカードしか出せない」という数学クラスタ向けのトランプゲーム。9、10を組み合わせて109にするなど(関連記事)
遊べるゼータ関数
あと、非正則素数かどうか判定したくなるときってあるじゃないですか。……ありません?
実はすでに「非正則素数チェッカー」というのを作ってあります。計算できなくても、非正則素数かどうか判定できるすごくうれしいやつです。
これを使って非正則素数に親しんでほしいと思って、きっかけの1つとして「非正則素数ダウト」というゲームを考えました。
トランプゲーム「ダウト」と基本的なルールは同じなのですが、手札のカードを組み合わせて素数を作り、表向きに出します。その数字を見て「非正則素数ではないぞ」と思ったら、ダウトと宣言するゲームです。
こんな感じで非正則素数をひたすら言い合うゲームをやっていけば、日本の人口の半分くらいが非正則素数を覚えるんじゃないかな、と思います。このプレイ動画は、そのうちYouTubeに上げたいと思います。
※本記事の文章は読みやすさなどに配慮し、発表内容を一部補足・修正しています
※制作協力:辻順平さん
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