「仕事は楽しいことばかりではない」というのは誰もが知っていること。ですが、業界や職場によってその“楽しくないこと”はマチマチ。外側からは見えない、知られざる苦労も多いことでしょう。
さまざまな職業の方に取材する連載企画「あなたの仕事のグチ、聞かせてください」。今回はゲームセンターに勤務していたGさんのエピソードです。
時には「ガチ勢」とのトラブルも……?
―― 前回はゲーセンに不慣れなお客さまとのトラブルについて伺いました。他にも対応が難しいお客さまはいましたか?
逆に「知識があるからトラブルになる」パターンもありました。
音楽ゲーム、具体的なタイトルを出してしまうと「beatmania IIDX」のプレイヤーさんだったのですが、ボタンの押し加減に相当なこだわりがある方でして……。「もっとボタンを軽くしてくれ!」とたびたび注文されるのですが、お客さまごとに好みがありますから、どうしても平均的な調整にせざるを得ないんですよね。
大きなゲームセンターなら台数を増やしてそれぞれ調整を変えるような方法もありますが、うちのスペースでは1〜2台が限界でしたので……。
―― そもそもボタンの固さって調整できるものなんですか。
バネを取り換えることでカスタマイズできます。過剰な調整を要求してくる方は、ネットで調べたり、家庭用コントローラーを分解したりして、内部の構造を理解していたようです。
音ゲーコーナーは音響の調整も大変でしたね。筐体の距離が近いと隣の音がうるさくて集中できないので、新しい機種が入るたびに配置や音量のバランスに神経をすり減らしていました。最近はヘッドフォン端子が付いている筐体が増えてだいぶ楽になりました。
―― 編集部に格闘ゲーム好きが多いので、格ゲーマーのエピソードがあればぜひ伺いたいです。
格闘ゲームでマナーの悪い行為といえば「台パン」ですが、前回もお話したように、ガチ勢の方ほど筐体の値段(100万円〜)を知っているので丁寧に扱ってくださる印象です。
ですが、中には注意するかどうか微妙なラインの「やさしい台パン」をする方もいて、それはそれで「声をかけるべきか……」といちいち気が散るので嫌でした。
―― 台パンにもいろいろあるんですね。
後は、トラブルというわけではないのですが、大会運営は大変だった覚えがあります。公式大会の予選会場になったりすると、普段はうちの店で遊んでいないお客さまもプレイすることになるので、例えば「いつもと筐体が違う!(※)」といった事態が起こります。
※「ストリートファイターIV」などのタイトルは複数の筐体に対応している。
事前にご連絡があれば対応を検討しますが、当日となるとできることも限られてくるので、ベストなコンディションで戦っていただけないのは心苦しかったですね……。
とはいえ、そもそも公式大会の会場になるような機会がまれで、むしろ常連のお客さまからは「次の公式大会はこの店でやってくれ!」「ホームで戦いたいんだ!」と熱心な要望をいただいていました。
どの店が会場になるかはメーカー次第ですし、掛け合ったところでスルーされて終わりでしたので、お客さまの期待に応えられず歯がゆかったです。
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