応仁の乱をまるでNHKの歴史番組のように解説してくれる動画シリーズ「戦国への道」が分かりやすいと評判です。
「応仁の乱」といえば、よくゲームや漫画の題材となる戦国時代を生むきっかけともなった重要な出来事が起こった時代です。ところがその重要性の反面、高い人気を誇る戦国時代などに比べると影が薄い印象があります。
その理由としては「いろいろな勢力が入り乱れてややこしい」「最終的に『〇〇が全国を支配する』といったような区切りがない」ことなどが挙げられます。もっとストレートに言えば、応仁の乱はとても分かりづらく、楽しみづらいのです。
動画では、そんな応仁の乱のややこしさを象徴する「なぜこの人物同士の対立が起こってしまったのか」「誰と誰が手を組んでいるのか」といったポイントを、テレビ番組風な演出と共に解説しています。
同シリーズは2017年夏からニコニコ動画で不定期に投稿されているもの。手間暇のかかった映像編集もさることながら、驚かされるのは各エンディングに掲載される膨大な参考資料の数です。
動画の制作者は「一介の歴史好き」だというニコニコユーザーのterakeiさん。動画冒頭には「色々な本から得た知識をつなぎ合わせているので、内容は正確ではありません」との断り書きがありますが、動画からは地道な手間や努力の積み重ね、そして日本史への思い入れが感じられます。
動画を再生していくと、東軍大将細川勝元に西軍のリーダー山名宗全、しぶとい軍略家畠山義就に天下一の極悪人朝倉孝景(敏景)、そして図らずも大乱の原因を作ってしまった「東山殿」足利義政など、戦国時代に負けない個性豊かな人物の軌跡をスムーズに楽しめます。これもまた熱意と工夫のなせる業でしょう。
応仁の乱編は第2集「応仁の乱の衝撃」をもってひとまず終了。現在は関東を大乱の渦に巻き込んだ「享徳の乱」を解説するシリーズが投稿されています。
この乱は応仁の乱に先駆けて火蓋が切られ、実に30年弱も続いた大乱なのですが、知名度は決して高いとはいえません。そんな「地味」な乱を投稿者は、不屈のリベンジャー足利成氏や、江戸城の生みの親である太田道灌といった英雄的人物の活躍を交えつつ、丁寧に解説していきます。
近年では応仁の乱を解説した呉座勇一さんの新書『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』が異例のベストセラーを記録し、同時代を舞台にしたゆうきまさみさんによる漫画『新九郎、奔る!』が連載されるなど、応仁の乱への注目度も高まってきています。この動画もまた、応仁の乱を知るためのきっかけとしてネット上の歴史好きの人気を集めているようです。
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