ゲームの国際戦で高校生が海を越え、時に人力でTASを超え ひたすら最速クリアを目指す“RTA(リアルタイムアタック)の歩き方”(2/3 ページ)
国内最大規模のRTAイベント「RTA in Japan」の主催者・もかさんに、RTAの楽しみ方を伺いました。
TASに追随し、時に超えてしまうRTA
―― “RTAの自由さ”についてもう少し。テクニック面でいうとバグ技アリのレギュレーションもありますよね。「ロマンシング・サガ2」(SFC)の「サブフレームリセット」とか
以前、TASではツールの事情で1フレームごとにしか操作できなかったんですが、それがミリ秒単位で指定できるようになって。そこから「1フレーム以下の時間でゲームをリセットする操作を行うと、セーブデータを書き換えることができる」と分かったんですね。
TASの技術をRTAに取り入れる動きはけっこう前からあって、このサブフレームリセットも実機でやっている人たちがいます。
―― 人間がTASみたいなことをやっているわけですよね。普通は「TAS=人間では不可能なプレイをするもの」という認識だと思うのですが
そうですね。でも、逆に「RTAの方が早くクリアできるタイトル」もあったりします。
例えば、「Sa・Ga2 秘宝伝説」(GB)は実機を使わないと出せない乱数があるなどの理由から、TASより人力の方が短時間でクリアできる、という。
―― RTAプレイヤーの方ってそういう情報、どこから得ているんですか? 一般的な攻略サイトなどには乱数の話なんて書かれていないですよね
1つには「Speedrun.com」というRTA記録集積サイトに行って、世界1位の動画を「こうやってプレイするのかあ」と見れば、そのまま情報になります。
バグ技の発見などはほぼ集合知ですね。プレイヤー数が多ければ多いほど、皆で一斉につっつくので、何かしらほころびが出てくるというか。海外プレイヤーとの交流もあるので、そうやって見つかった新しいテクニックの情報が英語で入ってきたり、僕らは僕らで翻訳サイトを使って教えてあげたり。
―― めっちゃコアな国際交流……!
RTAプレイヤーは、どんな風にゲームしているのか
―― 「RTAプレイヤーとしての才能」ってなんだと思いますか?
ジャンルによっていろいろ変わりますけど、アクションなら操作精度、パズルなら即座に手を見つける判断力などでしょうか。
RPGだと戦略の立て方、ランダムイベントに対する立ち回りあたりが重要になってきます。僕は基本的にRPGのRTAをやっていて、操作はあまりうまくないですね。RTA用の攻略チャートを作るのが得意なほうです。
―― RPGのRTAを見ていると「○○さんのチャートをお借りしました」と言っていたりしますよね。あれって、どうやって考えているんですか?
僕の場合は、ゲームの情報を頭にたたき込んで「こういうルートで移動した方が早いかな」「どう買い物するのが、効率がいいかな」みたいに日常的に考えられるように。そうやってアイデアが思い付いたら、仕事が終わってから自宅で試してみる感じです。
チャートの作り方はけっこう個性が出るところ。相当運が悪くても大丈夫なように組む人もいますし、反対にかなりツイてないとダメで、リセットを連続するような作りにする人もいますね。
―― チャートの準備に加え、実践もしないと記録は出せないわけですが、RTAの練習ってどれくらいするものなんですか?
練習時間の長さも、タイトルによりけりですね。僕に関して言うと「ヴァルキリープロファイル」は発売から20年間くらいやっていて、もう何百回クリアしたか分かりません。メモリーカード5個が練習用データで埋まるくらいプレイしています。
でも、「本将棋 内藤九段将棋秘伝」(FC)の練習は1日しかしていません。世界4位の記録を持っているのですが。
―― ……むしろ、何でそんなRTAやってるんです?
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