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「単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない?」 現役中学教員に聞く“授業時間の確保が難しい実態”(1/2 ページ)

風が吹けば桶屋がもうかる式で「学校行事を減らすと、家計が楽になる」可能性も……?

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 公立中学の現役教員に「日々働くなかで感じる学校の課題」を語ってもらう連載企画。今回は、Aさん(仮名)に「行事が多過ぎて、授業時間が削られている」という問題についてインタビュー。同氏は「学校行事を減らすことには、生徒の学力が上がる、家庭の教育費が減るなどのメリットがあるのでは」と指摘します。

「単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない?」



―― 中学校の行事って、どんなのがあったっけ?

 学校によって違うんだけど、定番どころは運動会(体育祭)に合唱コンクール、修学旅行、マラソン大会、文化祭、生徒会の選挙、球技大会、百人一首大会、定期テスト……。小さいものだと楽物乱用防止教室とか、誰々の講演会とか、4月の各種検診とか……。

 行事と呼ぶべきか分からないものもあるけど、毎週のように何かしらやっていることは間違いない。詳しく知りたい保護者の方は子どもが通う学校のWebサイトで「年間行事予定」を見てほしい。今はどこの学校も公開していると思うから。

―― あたらめて聞いてみるとけっこう多いね

 学校行事は授業をつぶして行われることも多いのだけど、こうも数があると授業時間を確保するのが大変だよね。

 「この科目の授業は、1年間でこれくらいの時間やってくださいね」というルールが決まっているのだけど、俺が教えている科目だと、その70%くらい授業時間が取れればいいかな、という感じ。

―― 70%だと全然足りていないことになるけど、法的な問題はないの?

 「その行事と関係のある教科の授業時間としてカウントする」というような読み替えをしているらしい。

 だけど、通常の授業に使える時間が減ってしまうことには変わりないから、授業が進むペースはその分、早くなってしまうよね。

―― そうすると勉強についていけない生徒も出てきそうだけど……どうなの?

 単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない? 通常の授業に使える時間が増えるわけだから。

風が吹けば桶屋がもうかる式で「学校行事を減らすと、家計が楽になる」可能性



―― 学校行事って減らせないの?

 前も言ったかもしれないけど、そういうことをすると保護者から「ウチの子が輝けるのはあの行事なんです!」みたいにクレームがくるし、「あの学校はサボってる」みたいに言われてしまうから、そう簡単になくせるものじゃないんだよね。むしろ、増えているくらい。

 一応、定期テストをなくすなどの取り組みを行っている公立校も、あるといえばある。でも、そういうのってだいたい型破りなワンマン校長が引っ張っていて。“教員の常識”から見ると「素晴らしい取り組みだ!」ではなく「何やってんの?」という感じ。

―― “普通の感覚”だとありえない取り組みなんだ

 個人的には「行事を減らして、授業時間を確保する」という考え方にも一理あると思うんだけどねえ。

 例えば、保護者は「学校の授業だけでは補いきれない部分があるから」と、子どもを塾に通わせていたりするわけだよね。

―― ああ、授業時間を増やして“補いきれない部分”をなくせれば……

 そうそう。「風が吹けば桶屋がもうかる」じゃないけど、「学校行事を減らすとその分、通常の授業時間が確保できる → 授業のペースが落ちて、勉強内容が理解しやすくなる → 塾に行かなくてもよくなる」となれば、家庭の教育費も減らせるかもしれない。

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

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