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「出勤は朝5時半」「ベテランに口出しされないための“頑張ってますアピール”」 現役中学教員に聞く“仕事としての体育祭”(1/3 ページ)

「若手の先生に関しては周囲の目が厳しくて。特に行事に関しては」

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 公立中学の現役教員に「日々働くなかで感じる学校の課題」を語ってもらう連載企画。今回は「体育祭シーズンの教員の働き方」をAさん(仮名)にインタビュー。平時でも「残業100時間超は当たり前」というほどの激務だそうですが、学校行事の代表格・体育祭があるときのスケジュールは?

5時半から仕事 → 7時半から生徒たちの練習を見る



―― 体育祭(運動会)シーズン、教員の1日はどんな感じ?

 体育祭は大きく分けて、日が昇るのが早い5月開催と、10月開催の2パターンがあると思う。今回は俺が若手のころに経験した5月開催の体育祭について話そうか。全ての学校、教員が同じスケジュールで生活しているわけではない、というのは断っておくよ。

 まずは午前5時、松屋で朝メニューを食べる。

―― いきなり「全ての学校、教員」に当てはまらない話が来たな

 俺が若手のころは本当にそういう生活だったんだよ(笑)。

 体育祭前の1週間は「体育祭ウイーク」的なアレで、生徒が朝7時半ごろに登校。大縄跳びなどクラス競技の練習をするから、それを見ないといけなかったんだよね。でも、朝のうちに授業準備などの仕事も片付けたかったから、俺は牛丼屋で朝食を済ませてから、5時半ごろに出勤していた。

 他の先生も6時〜6時半くらいには出勤していたかな。その学校は「体育祭が控えているのにギリギリに来るなんて」と言われるような雰囲気だったから、「自分も早く行かないと」というところもあったと思う。

ベテラン教員に口出しされないための“頑張ってますアピール”

―― それにしても早くない? 他の先生は6時台なのに、自分は5時台って

 若手の先生に関しては周囲の目が厳しくて。特に行事に関してはそうなんだよね。

 部活だったら「ウチはオフなので」と言えるけど、体育祭は全クラスに関係する。授業だったら担当教科の違いが壁になるから、他の教員からの口出しは少ないのだけど、体育祭はそうじゃない。ベテランの先生などから「あなたのクラスが今こういう状況なのは、担任としての関わりがこうだから」「隣のクラスを見てごらん」みたいに言われてしまう。

 若手はそういう風に口出しされないように“頑張ってますアピール”をするものなんだよね。「うまくいっていないし、頑張ってもいない」といわれるのは最悪だけど、取りあえず朝早く行って遅くまで残っていれば「若くて力量がないから仕方ない」と思ってもらえる。

―― 「やることはやっている」という体裁を作るわけだ

 他の教員との関係についてもう1つ言うと、「行事の成功は担任の力量によるところが大きい」と言われていて、ベテランになるほど「若手には負けられない」という気持ちが生まれるものでさ。

 俺もそれなりに働いてきて、ベテランのそういう気持ちも分かるようになったけど、若手のときは「何この人、怖っ!」って思ってたよね。

昼休みも体育祭の練習に張り付く

―― 朝の練習後は、どんな動き?

 昼休みも15分くらいだけど「みんなで練習しようぜ!」という雰囲気。ケガなどがあったときすぐに対応できないと問題になるから、教員は張り付いていないといけない。で、放課後にも1時間くらい練習があって、それも見ていたよね。

―― 放課後までやるのかあ。教員の帰宅時間も遅くなるの?

 いや、そこは普段と変わらない。もともと部活でつぶれている時間だから。

 “体育祭で増える仕事”というと、例えば、学級通信。毎日のように出しては「今日は大縄跳びで何回飛べましたね」「○○くんと△△さんが頑張っていましたね」と書いてたよ。体育祭に対してやる気のない生徒もいるんだけど、そういう子も含めて盛り上げていかないといけないから。

 あと、生徒たちの練習メニューを俺が考えていた年もあったなあ。体育委員の生徒に任せちゃってもいいのだけど……まあ、そういうのが苦手な生徒もいるんだよね。

―― 苦手なことを頑張るのも経験とはいえ、失敗するとクラス全体に響くところだからなあ……。そのへんのサポートも教員の仕事なのか

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