悪魔との取り引きは、大抵の寓話や創作において、関わった人間を不幸にするもの。ですが今回紹介する「消えたメガネ」は、悪魔の持ちかけた契約を受けながら、自身の望む幸せを掴んだ男の子のお話です。
漫画の作者はみうみ(宮崎想深)(@zakimiyakey)さん。精力的に創作活動をしており、pixivで作品を公開しています。
友達から「メガネ」のあだ名で呼ばれる主人公の前に悪魔が現れ、奇妙な取り引きを持ちかけます。それは「30分の寿命と引き換えに、悪魔のアルバムに貼った写真の時間へ30分間戻してやる」というものでした。
普通なら驚くなり慌てるなりしそうですが、主人公はなんのためらいもなく取り引きに応じ、1枚の写真を悪魔に差し出します。それは彼だけが行けなかった、遠足の集合写真でした。
悪魔は力を発動し、主人公は行けなかった遠足の日……集合写真を撮影した時間へ舞い戻ります。ですが取り引きに応じた理由は写真に写ることではなく、遠足中に土砂崩れ事故に遭い死んでしまったクラスメイト全員を救うため。主人公は咄嗟に機転を利かせ、事故の発生時間までバスの出発を遅らせたのです。
そして30分が経過し、場面は現在へと戻ります。契約通り30分の寿命を奪われた主人公は、それと同時に息を引き取ります。そう、彼に残された時間は30分未満だったのです。
その直後、主人公の部屋へクラスメイト達がお見舞いにやってきました。主人公が悪魔と契約し、事故を回避したことによって、悲劇的な過去は改変されたのです。
死んで魂となった主人公と、それに付き添う悪魔。「あと30分あればクラスの皆とお別れできたな」と憎まれ口を叩く悪魔でしたが、主人公は「どうせあと少しの命だったのだから、それで皆を助けられてよかった。キミを利用したのは僕の方かもね」と返すのでした。
主人公は最後に思います。「集合写真に入れて本当によかった、僕がちゃんといる」と。
悪魔との契約を利用してクラスメイト全員を救い、同時に願いをかなえた主人公。悪魔にとっては言う通り「つまんねーヤツ」でしょうが、主人公や読者にとってはしてやったりのステキな結末です。
作品提供:みうみ(@zakimiyakey)さん
(たけしな竜美)
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