給料前払いサービス「Payme(ペイミー)」を提供するペイミーは3月10日、「『給料前払い』についての一部報道内容に関する当社の見解について」を発表しました。発表は、いわゆる「給料ファクタリング」と呼ばれる金融取引についての報道内容を受けたもので、ペイミーは「『給料の前払いが貸金業に該当する』という旨の言及は誤解を与えかねない」としています。
問題となっているのは、「給料ファクタリング」と呼ばれる給料の前払い取引。業者が利用者の給料の一部を、額面よりも安い金額で債権として買い取ることで「給料日よりも前に給料をもらえる」とうたったもので、利用者は、給料を受け取り後に、額面通りの現金を支払うという仕組みです。
債権と額面の差額は、業者が「手数料」として徴収。給料ファクタリングは「債権の売買で、貸金にはあたらない」という論理を抜け道とし、貸金業法の上限金利を超える手数料を徴収するなど、悪質なものも見られています。
金融庁は3月6日、給料前払いサービスの貸金業該当性に関する書面照会への回答を公表。この回答では、給与債権が譲渡された場合でも、「企業は労働者に直接給与を支払わなければならない」という労働基準法にける「給与」の性質を上げた上で、支払いを企業に請求することができない業者が「利用者である労働者個人から資金を回収する」という構造が貸金業に当たるとしています。
ペイミーは自社のサービスについて「当社は導入企業に対して事務委託料の支払を請求しますが、個人(労働者)に対して立替払いを行った給料に相当する債権は有しておりません。また、当然ながらPaymeの導入先企業は、自社の労働者がPaymeを利用することがあることを認識しています」とした上で、「賃金債権の買取りを行ったり、従業員からの資金の回収を行ったりするものではなく、また、企業がその利用が認識している点で、給料ファクタリングとは大きく異なるものであると理解しています」と公表しています。
ペイミーは、利用する企業とペイミーの間で利用契約を交わして、労働者への福利厚生制度の1つとして導入されるもので、労働者との債権譲渡は行いません。ペイミーの公式サイトでは、企業の担当者向けに「求人への応募者増」などを導入のメリットとして挙げています。
また、ペイミーと同様のサービスである「前払いできるくん」を展開するPayment Technology、「CYURICA(キュリカ)」を提供するキュリカなども、金融庁の回答と報道について、同様の見解を公開しています。
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