自販機でドリンクとおむつが買える!? ダイドーが全国展開を目指すベビー用紙おむつ自販機、その背景を聞いた
背景には国土交通省によるサービスエリア・「道の駅」での子育て応援の取り組みが。
ドリンクの横に並んでいるのは……おむつ!? ベビー用紙おむつと飲料を販売する、ちょっと異色の自動販売機(以下、おむつ自販機)が、一部の道の駅に登場しています。設置したのはダイドードリンコ。
おむつ自販機は現在、「道の駅 いたこ」(茨城県潮来市)、「道の駅 北川はゆま」(宮崎県延岡市)、「道の駅 みまの里」(徳島県美馬市)に置かれています。紙おむつは2枚入りの小パック(220円)を販売。今後はさらに全国およそ200台を展開予定とのこと。
このおむつ自販機が作られるようになったきっかけ、誕生までの苦労を、ダイドードリンコの担当者に聞いてみました。
続けていた自販機による社会貢献。今回は子育て世代に
「当社は国内飲料事業売り上げの約8割が自動販売機からなので、もともと自動販売機での社会貢献に関心がありました」(担当者)
ダイドードリンコはこれまでも、災害時に自販機の中の商品を無料で取り出すことができる災害救援自販機や、自販機で傘を無償で貸し出すレンタルアンブレラなどを展開してきました。
加えて、おむつ自販機に携わる背景となったのは、2018年に国土交通省が発表した、高速道路のサービスエリアや道の駅での子育て応援の推進。その中には「おむつのばら売り」が含まれていたのです。
そこで同社と取引があったセコム医療システム、大王製紙とで「おむつ」を自販機で販売できないかと検討を重ねたといいます。
「自販機を通じた社会貢献で、子育て世代に利便性を提供できる面白いアイデアだと考え、ともに実現を目指すことにしました」(担当者)
セコム医療システムはおむつの包装、大王製紙は紙おむつの製造、そしてダイドードリンコはおむつ自販機の設置と飲料やおむつの管理などを担当。こうして3社がそれぞれの強みを生かし、おむつ自販機の実現に至りました。
スムーズな取り出しや衛生面にもこだわる
おむつ自販機の開発で苦労したのは、紙おむつを自販機内に適切にセットし、スムーズに取り出すことだったそうです。
「飲料とは別の構造のスペースにセットできる自販機を活用することで、適切に紙おむつを補充できるようにし、さらにスムーズに取り出すことができるように、紙おむつも円柱状にしなければなりませんでした。紙おむつとしての機能を保ちながら円柱状に丸める、そんな包装を開発するまでが大変でした」(担当者)
おむつの包装は無事完成し、取り出しのテストもクリアしました。
ダイドードリンコの飲料と一緒に販売されている紙おむつですが、もちろん紙おむつだけの購入も可能。飲料は特に赤ちゃん向けのものというわけではなく、同社の一般的な飲料が販売されています。
他の飲料メ―カーもおむつ自販機の開発や設置を行っていますが、ダイドードリンコならではのこだわりも。
「取り出し口が飲料とおむつで別々になっています。分けることで安全面や衛生面を確保しました」(担当者)
全国の道の駅、そして商業施設での展開を目指す
2019年10月11日、「道の駅いたこ」におむつ自販機第一号機が設置されました。さらに、同年11月14日に「道の駅 北川はゆま」、2020年2月17日には「道の駅 みまの里」が続きます。
「施設を使う子育て世代の多さに左右されますが、おむつ自販機でおむつは売れています。『紙おむつを忘れたり、足りなくなったときに助かる。安心して親子で外出できる』という声もいただいております」(担当者)
今後は「道の駅 庭園の郷 保内」(新潟県三条市)、「道の駅 加治川」(新潟県新発田市)に加え、体育文化会館(新潟県三条市)などにも設置予定とのこと。
「今後は全国展開を目指し、道の駅だけでなく子育て世代の方が多く利用する商業施設にも設置していきたいです」と担当者は語ります。
子育て世代、特に乳幼児を連れての外出はどうしても荷物が多くなりがちです。おむつ自販機が増えると、子育てもより安心できて、ゆとりのあるものになりそうですね。
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