東海旅客鉄道(JR東海)は3月25日、山口県下松市の日立製作所笠戸事業所で、超電導リニアL0系の改良型試験車(車両番号:L22-951 以下、改良型L0系)を報道公開しました。
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2027年に予定するリニア中央新幹線(品川〜名古屋間)の開業に向けて、JR東海は2013年から、山梨リニア実験線で超電導リニア L0系車両による走行試験を行っています。
今回公開した改良型L0系は、従来のL0系をベースに先頭形状や発電設備を最適化するなど、営業仕様の決定に向けてより磨きをかけた試験車です。改良型L0系は先頭車と中間車を1両ずつ製造し、先頭車は日立製作所、中間車は日本車輌製造が担当します。
先頭車デザインの最適化で、空気抵抗を13%低減 発電装置は「誘導集電方式」を全面採用
従来のL0系からの改良点は大きく3つ。
まずはデザイン。先頭形状がより丸みを帯びたものに最適化され、先頭部分の空気抵抗を軽減するために滑らかな凹凸が付けられました。
従来のL0系は、その長いノーズから空気をすくい上げるイメージでしたが、改良型L0系は空気を八方にかき分け、流れを効率的に分散するように変更されました。この改良により、営業速度となる時速500キロ走行時の空気抵抗を約13%低減し、消費電力や車外騒音も改善する効果をもたらします。
2つ目は発電装置の大きな変更です。ガスタービンによる発電装置を廃止し「誘導集電方式」を全面採用しました。これまで、車内の照明や空調などの電力と超電導磁石の冷凍装置に使う電力の供給のためにガスタービン発電装置を搭載していました。既存のL0系の一部にも誘導集電方式を併用する車両はありましたが、今回の改良型で全面的に誘導集電方式を採用します。
誘導集電方式とは、身近なもので例えるとスマートフォンの無線充電(置くだけ充電)のように、車両と発電装置が接触していない状態でも車両に電力を供給できる方式。地上に設置したコイル(地上ループ)と、車両に設置する集電コイルとの間に発生する電磁誘導作用を利用して発電が行われます。
リニア中央新幹線はほとんどがトンネル区間となるため、発電装置が発生する排気ガスの処理も課題でした。誘導集電方式によって、排気ガスの課題が解決されるだけでなく、排気口からの排気が影響した空気抵抗の低減にも効果があるといいます。
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