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DV被害者支援団体、新型コロナの影響で児童虐待やDVの悪化懸念 国に対策を求める

夫の在宅ワークで暴力やモラハラが発生したケースも。

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 DV被害者を支援する全国女性シェルターネットは3月30日、新型コロナウイルス対策状況下で家庭内の児童虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)の悪化や件数増加が懸念されるとして、国に対策を求める要望書を提出しました。

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全国女性シェルターネットが要望書を提出

 全国女性シェルターネットは、DVの被害を受けた女性や子どもたちを支援する民間団体。1998年に結成され、2003年にNPO(非営利団体)となっています。DV被害者を支援する民間シェルターなど67団体がつながっており、情報共有や社会発信を行っています。

 全国女性シェルターネットは要望書で、経済状況の悪化や自宅待機が増えることにより、家庭内での児童虐待やDVの悪化や件数の増加が懸念されると提言。相談現場ですでにそうした相談が入っていること、阪神淡路大震災や東日本大震災時の経験則からも今後悪化が予測されることに触れ、国に対策を求めています。

 同団体は、以下の5つを求めています。

(1)相談窓口の増設・整備・周知・情報共有――緊急の状況下においても、DVや虐待の相談窓口を閉じないこと。増加することを予測し、電話相談の回線、DV、シェルター、児童保護施設を増やすなどの対策整備を行うこと。相談窓口の存在を周知すること。避難を求める人がいたらただちに一時保護につながるよう情報を共有すること。

(2)一時保護の迅速な開始、保護期間の柔軟な延長――コロナ対策の期間中は都道府県の一時保護などの措置業務が滞ることが想定されるが、被害者が市町村や民間シェルターに逃げ込んだ場合、自動的に一時保護を開始するようにすること。民間団体が市町村や当事者から一時保護を求められて受け入れた場合、国や都道府県が経費を負担すること。一時保護期間を2週間とする都道府県が多いが、コロナウイルス対策の状況を踏まえ、柔軟に期間延長をすること。

(3)一時給付金や援助金の受け取り方法に関する特別措置――低所得者への救済策として一時給付金などが導入される場合、住民票を移さないまま、DVを理由に家を出ている配偶者や子どもが援助金を受け取れない危険性がある。DVの相談証明がある人や住民基本台帳の閲覧制限などの支援措置がとられている人など、DV被害者が申し出た場合は住民票上の世帯主でなくても支援金を受け取れる措置を行うこと。また、銀行口座がない人への給付も柔軟に対応すること。

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特別措置が必要な例

(4)生活保護の適用拡大――生活を支えるためには、現金給付だけでなく、生活保護基準よりも下回る収入状況の人には生活保護を適用することが安定的な救済につながる。生活保護と勤労収入で生計を維持している世帯の収入認定も柔軟に対応すること。

(5)DVシェルターに関する発表や報道への配慮――シェルターなどの利用者やスタッフに感染者が出た場合、メディアの報道が秘匿しているシェルターの場所を明かすことにつながる。

 同団体によると、既に以下のような声が上がっているといいます。

  • 自治体の相談センターが面談を中止し、相談支援につながりにくくなっている。感染を気にして、面談での相談を控える相談者もいる
  • 夫が在宅ワークで自宅にいる時間が増えたことで、暴力やモラハラの発生、相談や避難が難しくなったケースがある
  • 住民票を移さずに避難しているDV被害者や、別居中の外国人DV被害者など、今後保障や支援が実施されたとして受け取れるかを心配している

 また、「非常勤職員の自宅待機、雇い止めが多発しているため、経済的困窮に陥る家庭での暴力、虐待の増加が予測される」「外国籍移住女性やその家族への差別的風当たりが強まる」「飲食業や風俗産業で働かざるを得ないシングルマザーなどは、直ちに生活困窮に陥る」などの懸念もあるといい、上述の5つを「緊急に要望いたします」としています。

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