これ全部食べられるの? と目を疑いかねない、まるで宝石のような和菓子がTwitterユーザーの心を射止めています。ところが、きらびやかな画像とは裏腹に、ツイートに記載された文言はコロナ禍による作り手の悲鳴でした。
投稿主は、ロサンゼルスで和菓子販売事業「misaky.tokyo」を営む三木アリッサ(@AlissaMiky/Instagram)さん。世界に和菓子を広めようと移住して、2019年11月に営業を始め、ファーマーズマーケットやホテル、航空会社など販売先を開拓してきました。
三木さんが手掛けるのは、自らも製造に携わる、琥珀糖とフランスのゼリーを合わせたオリジナル和菓子。寒天とサトウキビをベースに、ラベンダーやローズ、マンゴーやクランベリーなど、ハーブと果物で味付けしているそうです。
米国の食事情に合わせて、商品は全てビーガングルテンフリーで無着色無添加と、ほとんどの人が食べられる仕様に。ラベンダーやローズを用いているのも、世界中の人に楽しんでもらえるよう、欧州や中東など各国の食文化に学んだ成果なのだそうです。
こうした研鑽(けんさん)が奏功して事業は伸び、トランプ大統領保有のゴルフクラブや、ドリームワークス本社内での販売を認められるほどになりました。しかし、新型コロナウイルスの影響でファーマーズマーケットが閉鎖。ホテルや航空会社からの受注もなくなり、頼みはオンライン販売のみとなってしまいました。
政府や自治体の支援策に頼ろうにも、起業年数や従業員数、営業地域などの条件が微妙にずれていて全て対象外。追い打ちをかけるように、ロサンゼルス郡で自宅待機命令の延長が取り沙汰され、耐えかねた三木さんは「お願いがあります!!! 和菓子買っていただけないでしようか」とうったえました。
悲痛なツイートは広く拡散され、励ましの声が多数寄せられました。和菓子を購入して支援する人もみられます。三木さんは反響について「100人以上からご支援いただきました。心から感謝しております」と、ねとらぼの取材に答えました。
misaky.tokyoが販売している和菓子セットの価格は、15ドルから150ドルまで(約1600〜1万6000円)。米国外への発送も可能で、1箱あたりの送料は16.39ドル(約1800円)とのことです。
取材協力:三木アリッサ
1992年生まれ。早稲田大学法学部在籍中にプリザーブドフラワー専門ブランド立ち上げに参画し、楽天ナンバーワンブランドに育てる。卒業後外資系メーカーにその企業初の学卒マーケターとして採用されCRM(顧客関係管理)を担当。その後、日本酒ベンチャーで新ブランド立ち上げや、伝統工芸品ECの新規事業立ち上げに参画。さらにはイスラエル専門商社にて、新規事業開発マネージャーとして、過去最高売上の12倍を半年で更新。
現在日本のLVMHの創設を目指して、ロサンゼルスにて和菓子D2C「misaky.tokyo」立ち上げを行なった。現在シュレックなど手がける「ドリームワークス」本社での販売ほか、トランプ大統領保有の高級ゴルフクラブにて30社ほどしか選ばれない公認ベンダーの一つにも認定されている。
Forbes Japan 女性100人最年少受賞/ Business Insider Japan Game Changer 2019
Twitter:@AlissaMiky/Instagram:misaky.tokyo
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