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【マンガ】「断捨離」と「家族のコレクションを勝手に捨てること」の根本的な違い コレクター女子が“片付け本”に納得できなかったワケ

「とはいえ、『他人が大事にしている物を勝手に捨ててはいけない』というマナーと、断捨離は別問題」

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 家族全員コレクター、自身も根っからのコレクターで物が捨てられなかったという著者によるエッセイマンガ『集めすぎ女子が本当の「好き」を見極めたら みるみる部屋が片付きました』。今回は著者・ひぐちさとこさんに「好きなものを集めること」と「片付けすること」を両立する難しさ、コツについてインタビュー。マンガ本編も合わせて掲載します(聞き手:直江あき)。



マンガ『集めすぎ女子が本当の「好き」を見極めたら みるみる部屋が片付きました』とは?

 著者は手芸やアニメ、漫画やフィギュア、かわいいものが大好きな“集めすぎ”のオタク女子。宝物に囲まれて大満足だったはずが、気付けば自室は大切なものといらないものが混在する樹海に……。

 物を捨てたくないオタクならではの視点でちょっとした小技や片付けのアイデアを詰め込み、お片付けから宝物がディスプレイされるまでを、一風変わった面白エピソードを交えて紹介した作品です。

著者プロフィール:ひぐちさとこ(Twitter:@higuchisatoko/ブログ:集めすぎ女子が本当の好きを見極めたら みるみる部屋が片付きました

小さくてかわいいものが大好きで、集め始めると止まらないオタク気質のアラサー女子。著書に『そういや私、女子だった! すこやかでハッピーな童貞女子の日常』『童貞女子会へようこそ!』(ともにKADOKAWA)がある。


第2話「全部大事? は部屋にあるものを把握してないから?」























その他の一部エピソード、購入先などはWebマンガ誌「コミックエッセイ劇場」に掲載されています


―― 片付けと言えば「断捨離」という考え方が有名ですが、ひぐちさんはどう思いますか?

 本を読んだとき、納得できなかった覚えがあります。「飽きた趣味の物は手放そう」とサラッと書いてあったんですが、私はそもそも自分が好きなものに飽きたことがなかったんですね。

 片付けのハウツー本によくある「いらないものは捨てよう」という考え方には、反発心すら覚えていましたね。というのも、私はシルバニアファミリーや切手、鉱石、食玩……など小さくてかわいいものが好きで集めているんですが、「他人にとってはガラクタに見えるかもしれないな」という印象があって。

 確かに衣食住には関係ないんですけど、私の心を保つためには必要で「コレクションはいらないもんじゃないんで!」と思っていました。

―― コレクションってどうしてもそういうところがありますからね……。興味がない人には価値が理解しにくい。

 でも、片付けるためには物を減らさなければならない、というのは絶対に正しいと思います。

―― 正しいんですか?

 正しいですね。ただ「いらないもの」というか、「“自分にとって”いらないもの」を理解することが大切だと思います。

「他人のコレクションを勝手に捨てること」と「断捨離」の違い

 私が片付けの本を読んでも納得できなかったのは、そもそも物を捨てることに対する恐怖心があったからだと思います。「捨てなきゃよかった」と後悔したくありませんでしたし。

―― 特にコレクションの世界では、捨ててしまうと二度と手に入らないものもありますしねえ。

 それから、ネットでよく見る「夫が妻に勝手にコレクションを捨てられる話」にも影響されていたと思います。私は、完全に夫側に共感していました。

夫が妻に勝手にコレクションを捨てられる話

 ググるといろいろ出てくるが、有名なのは「鉄道模型を捨ててから、夫の様子がおかしい」と呼ばれるコピペ。概要は以下の通り。

  • 古い鉄道模型をコレクションしている夫に「こんなにあるんだから売り払ってよ」と言い続ける妻。ある日、妻は鉄道模型の一部を勝手に売り払ってしまう
  • 夫はそれに対し怒らず「今まで迷惑かけていた」と謝罪。しかし、自分の殻にこもるようになり、残りの鉄道模型ばかりかあらゆる私物を処分してしまう
  • 元は現5ちゃんねるの書き込みで、スレッドは「【ストレス】家族が「物を捨てられない病」3【ジレンマ】」だったとされる
  • 「自分は綺麗な家に住みたいのに、それを家族が邪魔をする。そんな思いをしている人」向けのスレッドではあったものの、該当の書き込みには「失ってしまったものはもう元には戻らない」「心の一部(もしかしたら大部分)が死んじゃったような思い」「将来、美術館をつくりたいと何億円もの絵画を集めてたって、興味のない人にはじゃまなガラクタ」と夫に同情するレスが寄せられた

 とはいえ、「他人が大事にしている物を勝手に捨ててはいけない」というマナーと、断捨離は別問題。私はそれを勝手に結びつけて「自分が大切にしているものが、他人にいらないもの扱いされ、勝手に捨てられてしまう」とゴッチャにしていたのだと思います。

 断捨離を勧める人も自分の話をしているだけで、他人の話はしていないんですよね。

―― 「私はこうやって、こういうものを捨てた」と言っているだけで、「だから、あなたも捨てなさい」と主張しているわけではない、というか。

 そういう誤解は、一度「自分で捨てるものを選んで、自分で片付ける」という経験をしたらなくなりました。

―― 断捨離の見方が変わったんですね。

 変わりましたね。「すっきりした生活が好き」という考え方が私と違うだけで、ちゃんと学んだら分かり合えるかもしれません。

 あと、コレクターとミニマリストは対極の存在だと思っていましたが、実はそうじゃないんじゃないかと思うようにもなりました。私はコレクションのために、使っていない実用品をごっそり減らしたんですよね。服だけならほぼミニマリストで、「いらないものを手放す」という考え自体は同じだと思います。

―― ただ、その“いらないもの”の内容が違うわけですか。

 何を大事に思うかは、人それぞれですから。私は「他人にとってはいらないものかもしれないけれど、自分には大事なもの」を残しました。

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