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「あつ森」劇的ビフォーアフター! センスのなさすぎる島が一級建築士の手によって友だちを呼べる島になるまで

ビフォー「分断された川」「謎の飛び地」→アフター「滝を見ながら入れる温泉」「フェス会場」

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 発売以降大人気の「あつまれ どうぶつの森」。実際のファッションブランドが実際に販売している服のマイデザインを提供したり美術館が収蔵品のマイデザインを提供したりと、リアルな世界も巻き込んだかなりのブームになっています。

 そんな「あつ森」には、島を自由に工事してさまざまな形にしたり、膨大な種類の家具を集めて配置したりすることで、自分の好きな世界観の島を作り込むことができるという要素があります。

 そして、SNSやYouTubeには日々、手の込んだ島で楽しそうに遊ぶステキなワンショットや動画がたくさん流れていて、見ているだけですごくワクワクしてくるのです。……自分のセンスのない島と比較して心を痛めるオプション付きで……。

 購入した当初は、「絶対ステキな島にして、友達をいっぱい招待するんだ!」と夢にあふれていたんです。でも、センスもゴールもないまま適当に島を切り崩したため、分断された川や、薄すぎて生物が住めない池謎の飛び地などが島に行くたびに私を責めてくるのですが、どうしていいか分からず数週間にも渡り放置。




 購入当初の夢も夢のまま、恥ずかしいという気持ちはあるため、最近まで人の島に行くばかりで、一度も自分の島に人を招待したことがありませんでした。

 なんとかしたいものの、何もできない苦しい日々。これ以上触ったら、これ以上ひどくなるという恐怖感。この脱却方法を考えていたとき、もしかしたら「建築士」や「インテリアコーディネーター」などのプロの方にお願いしたらなんとかなるのでは? ということを思い付いたのです。

 そして、そのタイミングで発見したあつ森の博物館のすごさを一級建築士の友人にインタビューしたというnote記事を見たのでまさに渡りに船! 早速一級建築士の「翼さん」Instagram)という方にコンタクトを取り、このたび島作りをお手伝いしてもらうことになりました。



 急なお願いだったにもかかわらず、すぐに了承してくださった翼さんが神なのは言わずもがななのですが、翼さん自身がちゃんと「あつ森」のプレイヤーだったので、話が早かったのがすごくありがたかったです。

 まずは翼さんには、私の島に来てもらい全体を案内しました。





 川が分断されているのを見て「か、川が分断されていますね……」謎の飛び地を見て「こ、これは何ですか……」とつぶやきながら見て回る翼さん。申し訳なさと恥ずかしさでつらい気持ちでの案内だったのですが、最後は「ちょっと頑張ってみますね」という心強いお言葉をもらいその日は解散。

 そしてその数日後、めちゃくちゃすごい計画書を送ってきてくださったのです。

 計画書は、建築やインテリアにおいて、大まかに配置を決めることの意味である「ゾーニング」といわれるものを私の島上に書いてくれたもので、見ただけでこの私でもすごくイメージが沸いてきます。



 さらに「家同士が離れていると水道・電気などのインフラ維持費で財政が圧迫されるのでコンパクトに」「都市を計画する際には、住宅地のなかに空気汚染する工場が建たないようにするなど用途地域という考え方があるため、住居、商業施設などを明確に分けてみてはどうか」などのコメントも細かく記載してくれて、このへんはさすが本物の一級建築士さん。



 「なんかすごい人にお願いしてしまったんだな」と思って、本気で付き合ってくれる翼さんに感謝しつつ、申し訳ない気持ちも出てきて、なんとしてもいい島を作らないと! と思いました。

 他にも、高木と低木を合わせて植えると緑量が多く見える街路樹の作り方や、住民の家を「街」「郊外」「田舎」ごとに分ける方法や、柵を家のまわりに立てることでいい感じに見える方法なども教えてくれました。このあたりは、本当にすぐにでも使えるアドバイス!




 結果、このマップ情報だけで見てもヘンテコな島が……。



 しっかりと区画整理された島に超進化することができました!



 川が分断されていない! 謎の飛び地もない! どころか、なんということでしょう! 島には「フェス会場」「ナイトプール」「遊園地」「滝を見ながら入れる温泉」が完成! 人が呼べなかった島が、1週間ほどで人を呼んでも、どこを切り取っても恥ずかしくない島に生まれ変わりました……! 劇的ビフォーアフター……!






 しかも、「余った土地は余白として残すことで、新しい面白いスポットが誕生しやすい」というアドバイス通り、自分でアレンジを加えながら「ジム」や「カフェ」を作れるまでに成長。




 すごくないですか……! プロの力を借りれば、センスのない私がステキな島を作れるようになるんですね……! 自分自身が一番驚いているのですが、この感動や驚きを私のようにセンスのない人にも再現できるよう、最後に振り返りとともに翼さんのインタビューをお送りしたいと思います!



―― 本当に今回はありがとうございました! まず初めにお伺いしたいのが、翼さんのお仕事である「一級建築士」というのは聞いたことあるのですが、実はどういうお仕事かよく分かっておらず……具体的にどんなお仕事なのか教えていただけますでしょうか。

翼さん:大きな部分でいうと、建物の設計業務をする人です。単純にデザインをするだけではなく、法にのっとって、敷地や周辺状況を考えた上でデザインすることが求められます。こういう場所ならこういうことができるんじゃないか? ということを考えながら、アイデアを出して、デザインを考えて、それが成り立つように図面を描きながら設計や、ときにはインテリアまでを詰めていきます。

 普段の僕の仕事は、公共建築が多いですね。体育館だったり庁舎だったり、マンションなどもやっています。

―― すごいスケールの方に気軽にお願いしてしまってあらためて大変恐縮に感じていますが……最初に私の島を見たとき、正直どう思われましたか?

翼さん:なにも整地されておらず、途方に暮れているんだなという感じを受けました(笑)。川が分断されていたのには笑いましたね。なんとも言えない状況になっている川。



―― その後、すごく丁寧にご提案いただいて、結果この日を迎えられたので本当に感謝しているのですが、どういう点を意識してご提案いただいたのでしょうか?

翼さん:最初に島に伺ったとき、部屋の中はちゃんとされていたのを見て、「小さいスペースを作ることはできる方なんだな」「規模が大きくなるとなにから手をつけていいか分からなくなる方なんだな」と思いました。なので、島を小さなエリアごとに分けて、そのエリア同士を道でつなぐことで街らしく見せるという提案の仕方にしました。

―― そして、ようやく本日完成形をお見せできたのですが、いかがでしょうか? すごくがんばったのですが……!

翼さん:バッチリでしたね! 僕がご提案したエリア以外にも、ジムとかカフェも作っていたので、完璧でした。やはり、ガイドラインがあるとやりやすかったですか?

―― そうですね。今回特にプロだな! と思ったのが、あまり大掛かりなことを言われなかったことなんです。めちゃくちゃお金をかければ、家や施設は移設できるので整えやすいと思うんですが、すごくお金が掛かる。でも、大きく移動を勧められたのが1つの住民の家の移設だけだったんです。

翼さん:そうですね。これは普段の仕事もそうなのですが、設計時は必ず敷地条件を考えて、その条件にあった提案をしていくんです。なので、与条件があるなかで作っていくことは日々やっていて。それに、その方が個性が出やすいんですよね。その敷地だからできるというか。

―― さすがです……。では、今回私は最適なアドバイスのもと島作りができたのですが、私のようにセンスに自信がない人や、初心者が島作りにおいて最初にやるべきこと、心掛けることを教えてください。

翼さん:最初は壮大さにどうしたらいいのか分からなくなっちゃうと思うので、まずは全体のマップからゾーニングをしていくことが大事だと思っています。作りたい施設をざっくり決めて、それを配置していく。そしてそれを道でつなげていけばどんな人でも、どんな島でも、それなりには見えると思います。

―― では次に、「いい感じに見えるようになる」オススメの方法や家具を教えてください。

翼さん:ある程度リアリティーがある方がそれっぽくなるのかな、と思っているので、今回もご提案していた、家の周りに柵を配置して、そのなかにどうぶつごとに家具やアイテムを配置する方法です。柵は統一感が出すには同じレシピの柵でそろえることですが、でも今回の大原さんのように、いろいろな柵を飾った方がかわいいので個人的にはオススメです!

―― それ、本当にすごかったです! 柵を周りにつけて、ゴミ箱とか、自転車とかを配置しただけですぐにそれっぽくなりました!

翼さん:あとは、空いてしまったスペースには、電柱や街灯を置くのも空間が引き締まるのでオススメです。家具については、テーマで合わせるとか、色や素材で合わせれば基本的には良くなると思います。

―― ありがとうございます! 最後に一級建築士の翼さんから見て、「あつ森」のすごいポイントを教えてください。

翼さん:僕は、やはり博物館がすごいなと思っています。非常口をはじめとしたさまざまな演出が面白い。僕たちも設計時にはバーチャル空間で作るのですが、遊びの要素を入れることはほとんどなくて。でも、あつ森は素材選びも独特な世界観があってもすごく楽しいです。あとは、住民の家ができる際に立て看板が建つじゃないですか。それは実際にあることなので、そういう細かい部分も面白いですね。

―― ありがとうございました!


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