病気などで頭髪のない人に医療用ウィッグを提供するため、髪の毛を寄付するヘアドネーション。このヘアドネーションをめぐり、「髪の毛の売却などのトラブルが原因で、NPOがヘアサロン経由の寄付受付を停止する」という投稿が拡散し、波紋が広がっています。NPOに問い合わせたところ、「トラブルによるものではない」との回答でした。
「ヘアドネーションが転売などのトラブルで受付停止」とする投稿拡散
拡散した投稿は、ヘアドネーションに協力しているヘアサロンによるもの。ヘアドネーションに関わるNPO「JHD&C(ジャーダック)」が、7月1日からサロン経由の髪の毛の受け入れを停止するとし、停止の理由は毛髪を無断でオークションサイトで売却するといったトラブルが多いためと記していました(※その後訂正の投稿をしています)。ヘアドネーション経験者や、今から髪の毛を寄付しようとしていた人が、怒りや失望のコメントを寄せていました。
JHD&C(正式名称はJapan Hair Donation & Charity)は、ヘアドネーションの髪だけで作った医療用ウィッグを、頭髪を失った18歳以下の子どもたちに無償提供しているNPO。同団体に賛同するサロン(以下「賛同サロン」)は、髪を寄付するドナーの髪を切ってJHD&Cに代行送付するなどのボランティアを行っています。
賛同サロンとドナーの間でトラブルが多発していたようにも見える投稿。実際にそのような理由で受け入れを停止するのか、JHD&Cの広報、今西由利子さん(以下、今西さん)に聞きました
受け入れ停止の理由は
今西さんは、サロン経由の髪の毛の受け入れを7月1日でやめること自体は事実としています。先行して賛同サロンにメールで伝え、6月26日に公式サイトでも発表しています。
ただし受け入れ停止の理由については、「いつ届いたか分からない」というドナーの不安への対応やサロンの負担軽減のためとし、次のように説明しました。
「ドナーご自身で髪の毛を送付していただき、追跡サービスなどを利用されることで、発送に関する不安やご心配を軽減できるのではないか、またサロンワークをしながら、1人分ずつ髪の毛をパッキングし、発送予定日をドナーにお伝えいただいたり、発送を代行していただいたりというサロンさまのご負担も軽減できるのではないかという観点から、このたびの決定となりました」
JHD&Cでは賛同サロンによる髪の毛の売却・紛失は確認しておらず、サロンへの告知メールにも理由として記載していないといいます。実際にヘアドネーションをかたった詐欺が起きたことはあり、被害者のドナーが警察に届け出たり、JHD&Cが公式サイトで注意喚起をしたこともありますが、賛同サロンが詐欺行為をしたかどうかは不明としています。
取材の結果、無断売買などのトラブルによってJHD&Cがサロン経由の受け入れを停止したわけではなかったことが分かりました。注意喚起のツイートに多くの反応があったことや、髪の毛が不正に使用されていたという投稿への憤りのコメントから、多くの人がヘアドネーションに関心を持ち、何らかの形で役に立ちたいと強く思っていることが伝わる出来事でした。
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