プレッシャーがある状態での会話の音が“外国語”のように聞こえるという悩みを抱える女性が、弱点を個性として受け入れ、工夫しながら職場に馴染んでいく体験を描いた漫画に「私も同じです」「自分だけではないと知れて良かった」といった反響が集まりました。
投稿者の伊吹天花(@ibukitenka24)さんは人の話を聞き取るのが苦手。親しい相手なら「その引き出しに入ってる赤いファイル取ってクレない?」と理解できるのに、ある状況では「ソノヒキダシニハイッテル赤イファイルトッテクレ」とまるで日本語ではないように聞こえてしまいます。職場で上司に早口で話されると、この現象は起きるようです。
「赤」という言葉以外は、聞き返しても理解できず、伊吹さんは唯一得られたヒント「赤」を頼りに、上司に赤い箱を手渡します。すると「赤いファイル」と指示したのに、まったく違うものを持ってきたことに上司はご立腹。
理解しようと気合いを入れると、余裕がなくなり、さらに言葉を理解できなくなる悪循環に追い詰められます。伊吹さんは「自分が情けない」「社会人……というか人間として失格だ……」と自身を追い込んでしまい、心療内科へ出向きます。
適性検査を受け、担当医師から「聞いて理解する機能は低い傾向」だと症状を告げられます。症状を良くしようと、前のめりで治療法を聞く伊吹さん。しかし医師の答えは、「これは伊吹さんの個性ですから 上手に付き合っていく方法を考えましょう」という意外なものでした。
社会人の自覚がないと打ちのめされていた伊吹さんの心は、医師の言葉でやさしくほぐされます。「そういう仕様」だったと安堵し、弱点をカバーする具体的な対策として聞いた音をそのまま復唱して転写することを始めました。始めた当初は相手にめんどくさがられたようですが、次第に周囲も理解してくれたといいます。
それでも電話対応のような相手が見えない会話の難易度は高く、聞き返しや「電話が遠いようで」などのフレーズを駆使して乗り切っているようです。苦労が重なり、辛い思いをしたときでも、伊吹さんが心にとどめているのは「自分を責めたら可哀想だ」ということ。限られたスペックでうまくやっている自分を大切にしています。「人の話が上手に聞き取れない。それも受容しながら一歩ずつ進んでいこう」と心温まる決意で物語は締めくくられています。
漫画を読んだ人からは、「右の耳から入って左の耳からこぼれ落ちていく感覚」「名前も呼ばれず前置きもなく、いきなり本題から話をされる人だと何もわからない」など伊吹さんの症状に共感する声や「個性として受け入れることも出来るんですね」と気付きを得た感想などが寄せられました。
※価格は記事掲載時点のものとなっています
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