道路と線路が交差する「踏切」。列車が接近すると「カンカンカンカン……」と警報機が鳴り響き、遮断機が降りてくる……。一般的な踏切のイメージはそんな感じかもしれません。
しかし、警報機も遮断機もない踏切も存在します。「第4種踏切」といいます。
法令上、踏切には4つの種類があります。一般的な、よくある踏切は「第1種踏切」です。こちらは「踏切警報機と遮断機を備えたもの」が相当します。
続いて、第2種踏切は「踏切係員が詰める時間帯だけ遮断機を操作するもの」、第3種踏切は「警報機のみで、遮断機のないもの」です。第2種踏切は2020年現在、日本国内にはありません。
そして、警報機も遮断機ないし保安係設置のいずれも行われていない、第1種・第3種以外の踏切道が第4種踏切です。首都圏を走る大手私鉄では京成電鉄に1カ所、東日本旅客鉄道(JR東日本)にも青梅線の青梅以西や八高線の拝島駅以北などに存在し、踏切数全体の約8%(2018年度)を占めます。第1種踏切は約90%、第3種踏切は約2%です。
総務省が実施した「第4種踏切道の安全確保に関する実態調査」によると、2018年度の踏切事故のうち第4種踏切道での事故が14.9%、100カ所あたりの事故件数が第1種・第3種の約2倍になる1.28件あるとし、安全上の大きな課題と位置付けています。では、なぜ残っているのでしょうか。
もっとも多いのは、その踏切が必要とされていることです。生活のため「その踏切を通らなければ行くことのできない家や畑がある」、「大幅な迂回を強いられる」などの生活上やむを得ない状況があり、簡単には廃止に踏み切れないケースがあります。
廃止ができなければ、第1種踏切へ格上げすればいいと思うかもしれません。第4種踏切の多くは地方や中小私鉄に残っています。事業者単独で新たに第1種踏切を整備するのは、設置費//維持管理費の面から困難である課題があります。
国も「第10次交通安全基本計画」や改正された踏切道改良促進法で、踏切事故をなくすため、踏切保安設備の整備改良や踏切そのものの統廃合を推進しています。実際、踏切の数はかなり減ってきています。
ただ踏切道改良促進法における「要対策」の法指定踏切は、道路法による道路と鉄道が交差する踏切が対象で、「道路法による道路以外の道路」と交差する多くの第4種踏切は対象外である現状もあります。そのため第4種踏切における安全確保対策の議論も進められています。
都市部ではあまり姿を見ない第4種踏切ですが、2019年3月末時点でも日本には2652カ所の第4種踏切があります。旅行などでもし第4種踏切を渡る機会があったら、必ず止まって左右の安全確認を十分行ってから渡るようにしてくださいね。
(少年B)
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