空知らぬ雨、空吹く風、同じ空の下――空にまつわる慣用句がたくさんあるように、人は空に思いをはせる生き物です。誰しも1つか2つは「あの日に見上げた空」の思い出があるのではないでしょうか。
今回ご紹介する作品は、「空と思い出」をテーマとした、実に奇妙な物語です。
都市伝説を検証していると思しきふたりの女の子。彼女たちが探しているのは「空屋」というお店です。「空き家」ではなく「空家(そらや)」と呼ばれるそこは、屋号の通り「空を売るお店」なのだといいます。
女の子の片割れによれば、空屋は「あの日、あの時、思い出深い日に見た空と、まったく同じ空を売ってくれるお店」とのこと。空屋から思い出の空を買い、空を見上げれば、あの日の記憶や感情、情景といったものをありのまま、もう一度体験できる……とうわさされているそうです。
空屋を見つけた女の子たちでしたが、お店の中に入ることなく立ち去りました。なぜならうわさの続きによれば、空屋で空を買った人物は、決まって同じ末路をたどるそうなのです。
場面が変わり、高い建物の屋上に立つ女性が現れます。どうやら彼女は空屋から「あの日の空」を買った様子。思い出と全く同じ空を見上げ、そして……。
空屋は何者で、どうやって空を売っているのか。「あの日の思い出の空」に呑み込まれた人物はどうなるのか。それらは一切語られることなく、物語は幕を閉じます。二度と現実には戻れないかもしれない、それでももう一度見たい空があなたにはありますか?
作者は羊の目。(@odorukodomo8910)さん。青春を描いた4コママンガ『1%ORANGE』が発売中です。
作品提供:羊の目。(@odorukodomo8910)さん
たけしな竜美(@t23_tksn)
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実話ならではの説得力と雰囲気が面白い。