怪談話を収集するにあたって、最も効率的な方法は「出会った人たちから、地道に話を聞き出す」こと。幽霊なんて信じない、という人であっても「不思議な体験はなかったか」と切り口を変えて尋ねれば、ひとつやふたつは奇妙な体験談を語ってくれるものです。
今回ご紹介する作品は、そのように集まった奇妙な体験談のひとつ。それはただの夢だったのか……実話ならではの面白さをご体感ください。
ある女性から聞いたお話。彼女にはよく見る夢があるそうで、それは「居心地のいい縁側に座っていると、部屋の中の暗闇からシワシワの手が伸びてきて、ちょっとした何かをくれたり、たまにくれなかったりする」というものでした。不思議なことに、その手の主は、決して姿を現そうとはしなかったそうです。
ある晩、女性が激しい腹痛に苦しんていた時のこと。いつの間にか寝入ってしまった彼女は、例の夢の縁側に横たわり「痛い痛い」ともがいていたそうです。
すると苦しむ女性の体を白い布のようなものがふわりと覆います。それは布団……ではなく巨大なティッシュのような質感をしていました。ティッシュをかけてくれたのはいつもと同じ声の主。しかしその手は人間のものではなく、巨大な獣の腕に変わっていたのです。
硬い肉球で頭をなでる声の主。「いたいのいたいのとんでいけ」と、ニコニコしながらたどたどしくしゃべる巨大な獣に、女性はふと昔の出来事を思い出しました。
それは8年前のこと。女性は「京都へ行きたい」という突発的な衝動に駆られ、京都にある「伏見稲荷大社」へ向かいます。お参りを済ませ山を降りていると、砕けた小さなキツネの像を見つけました。彼女は近くの祠をきれいにして、ばらばらになったキツネの像をティッシュでくるんだ後、「痛いの痛いの飛んでいけ」となでてやり、祠の中へと納めたそうです。
女性が目を覚ましたところ、腹痛はすっかり治っていました。女性は思い返します。今まで夢に出てきた「あれ」は、あの時に拾い上げたキツネの像だったのかも。そう思った女性は、誰に聞かせるでもなく「ありがとう」とつぶやいたのでした。
作者は漫画家のみつつぐ(@mitutugu)さん。サンライズが運営するガンダム情報の公式ポータルサイト「GUNDAM.INFO」にて、『週刊ガンダムニュース』を連載中。また、ぶんか社で連載していた怪談漫画をまとめたコミックス『霊感なんて無いと思ってた〜怪談フラグぜろ〜』が10月10日に発売予定です。
作品提供:みつつぐ(@mitutugu)さん
たけしな竜美(@t23_tksn)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「人間やめるならタヌキにならねーか?」 死のうとする女性をスカウトするタヌキの漫画に「スカウトされたい」「タヌキになりたい」
人間には人間の、タヌキにはタヌキの生き方があります。 - 「多分もう帰れないな」 雨宿りで怪異に行き合った女の子の漫画が不思議で考察したくなる
アジサイの色はどうして変わるのでしょう? - 夢に出てきた知らない女性、その正体は? 「人から聞いた不思議な話」を描いた漫画
実話ならではの説得力と雰囲気が面白い。 - 深夜に話していた「姉」の正体は……? 想定外の展開を見せる実話怪談漫画に「怖い」「鳥肌」
ヒィィィ……。 - 都市伝説「メリーさん」がマッハ1.4で向かってくる恐怖……! 理系女子が夢で見た怪談が違う意味で怖すぎた
メリーさん最強説。