ねとらぼ読者から、料理中に起こった危険な出来事をインタビューする企画「お料理で事故った話、教えてください」。今回は「“いただきもののニラ”を食べたら一家で入院、父が3日間生死の境をさまよった」という体験談を伺いました。
連載:お料理で事故った話、教えてください
料理は毎日食べるもの。だけど、するのは意外と危ないもの。日々の暮らしの中で見落しがちな「家事にはどんな危険があるのか」「注意すべきポイント」に気付くために、いろいろな人から体験談を募集していろいろ聞いてみよう、という企画です。
農家のおばあさんからもらった“新しい品種のニラ”
私が10代だったころのお話です。小さいころから、我が家はご近所の農家さんからよくニラをいただいていて。ある日、その農家のおばあさんから“新しい品種のニラ”をもらいました。
炒めてもあまりしんなりしなかったり、ニラ独特の匂いがしなかったりと不思議な点もあったのですが「そういうものなんだな」と思っていました。
―― 新しい品種だったらいろいろ違くてもおかしくないですからね。
ニラレバにして食べてみると葉が硬く、食感もいつものニラと違っていつまでも口の中に残り続ける感じで、あまりおいしいとは思いませんでした。
食後5分で父が下痢を訴えだし、その後、私と母にも下痢や嘔吐の症状が。意識がもうろうとして全員動けないなか、母が何とか119番へ連絡を入れ、15分後に救急車がやってきました。1台しか空いていなかったらしく、すし詰め状態で病院へ搬送されました。
あとでお医者さまにお話を聞いたところ、私たちが食べていたのはニラではなく、スイセンの葉だったそうです。
※編集部注:スイセンは誤食しやすい有毒植物として知られ、各地の自治体が注意喚起を行っている。特に球根の毒性が高いのだが葉も有毒で、細長い見た目からニラと間違えて食べてしまうケースが多いという。
私の治療に関して言うと、病院では毒素を出すために下痢止めはいただきませんでしたが、脱水状態に陥っていたため、一晩点滴&トイレを繰り返しました。翌朝3時ごろにようやく落ち着いて(搬送されたのは21時ごろ)ゆっくり眠ることができました。
母も私同様、比較的軽症だったため点滴のみで済みましたが、父は体外に毒素を出すために嘔吐を促進させる薬やら下剤やらを投与されていました。
―― なぜ1人だけ症状が重かったんでしょうか?
父は、その農家のおばあさんからニラ(本当はスイセンの葉)とは別に、「お酒のおつまみに」とニラの球根(本当はスイセンの球根)で作ったナムルのようなものを渡されたらしく。父はそれを、まるで豆もやしでも口にするかのように多量に食べていたんですね。
父は病院に到着してから20分ほどで昏睡状態になり、3日間(食べた日含めず)生死の境をさまよっていました。
退院後、農家さんのところに行って、“新しい品種のニラ”をくれたおばあさんではなく娘さんに今回のことを伝えると「大変申し訳なかった」と深々と頭を下げられました。
娘さんからは「おばあさんの認知症が悪化していた」「自分1人で仕事をしており面倒がみきれていなかった」「おばあさんには話し相手がおらず、私たちの家に足を運んでいることを良しと思っていた」などのお話を伺いました。
娘さんもおつらそうなので「気にやまないでください」とだけ伝えました。その方とは今でもご近所同士仲良くしています。
本企画では取材させていただける読者の方を募集しています
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.