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【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】良作RPGの2作目で盛大にコケた「ゼノサーガ エピソードII」を楽しむコツ(1/2 ページ)

「頑張ってエピソードIIIまでプレイしてみませんか?」

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 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は「ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸]」ファン・フェンネルさん(@fennel27lr)に伺いました。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

ゲーム概要

 本作は2004年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)から発売されたPS2用ソフトであり、「ゼノサーガ」シリーズの2作目にあたります。

 前作「ゼノサーガ エピソード I[力への意志]」はムービーの演出や独特な世界観、光田康典氏の楽曲が評価され、新規タイトルであるにもかかわらず良好な売上(45万本)となりました。その続編である本作への期待も非常に大きかったものと思われます。

 しかし、制作スタッフが一新された影響か、全体的に粗が目立つ作品となりクソゲー・オブ・ザ・イヤー(KOTY)初代王者という非常に不名誉な称号を与えられてしまいました(2007年「四八(仮)」ショック以前のため、一応ゲームの域には達している)。

※四八(仮)ショック:KOTYの運営方針などに影響を与えた出来事。電ファミニコゲーマーの記事「『クソゲー・オブ・ザ・イヤー』を一変させた『四八(仮)』ショックとはなんだったのか? “テキストの量的分析”からクソゲーの定義とレビューの変容を見る」が詳しい

問題点

(1)キャラクターのデザイン

 個人的に前作からの落差が一番大きい部分です。前作のアニメ調からリアルなデザインに変更されたのですが、中途半端としか言えない出来に批判が続出しました(特に女性キャラは前作とは別人と思われるほど)。

(2)演出面

 本作の作曲を担当したのは梶浦由記氏と細江慎治氏であり、楽曲自体の評価は高いのですが、シリアスなシーンでヒップホップを用いるなど、使いどころを間違えているとしか思えない箇所が複数存在します。また、ムービーにおいても「急を要する事態なのに立ち止まって長々と会話する」など不自然な演出が目立ち、前作から劣化していると言わざるを得ません(クオリティー高めなOPがクライマックスと言われる始末)。

(3)難解な戦闘システムとシビアな戦闘バランス

 本作の戦闘システムをざっくり説明すると「敵のZONEを把握→ある程度ストックした状態で敵をブレイクする→与ダメが2倍になるエアーまたはダウン状態にする→追撃」という流れが基本となります。また、ブレイク以降の行動はブーストを用いながら行う必要があります。

 細かい説明を加えるとまた違ってくるかもしれませんが、これを読んでも何を言っているのか分からないと思う人が大半だと思います。

 ちゃんと戦闘システムを理解できればクリア自体はさほど難しくないのですが、問題は雑魚敵が固すぎて長期戦になりがちな点です。雑魚戦でもボス戦と同様に「バフを積んでから集中攻撃」という戦略をとることが要求されます。

 「敵にタコ殴りされながら仕込みを行い、適切なタイミングで攻撃開始」という流れをほぼ毎回やるのは正直面倒と言わざるを得ません。さらに本作の敵は妙に回避率が高く、攻撃が外れやすいのも地味にイライラポイントです。

(4)その他

 問題点を1つ1つ説明するとキリがないので箇条書きにさせていただきます。

  • エンカウント時のロードが長すぎる(ロード時間をごまかす演出さえない)
  • 習得可能な技を増やすためには面倒なお使いイベントをこなす必要がある
  • シンボルエンカウントなのに避けさせるつもりのないMAP構造と敵配置
  • バフが5ターンしか持続しない上に重ね掛けによる延長ができない
  • 2人技のコスパが悪すぎて使いどころが皆無
  • 音声バランスが全体的におかしい(ジンの勝利後ボイスが小さすぎて内容が聞き取れないなど)
  • クリア後にシオンのみが習得できる最強技をバグを利用してクリア前にプレイアブルキャラ全員に習得させることができる
  • こんなゲームなのにシリーズ3作中でセーブデータの必要容量が291KBと一番大きい(エピソードIは163KB、エピソードIIIは94KB)

このゲームの魅力

 上述のように粗が目立つ作品ですが、私はこのゲームをプレイして、レベルを上げてゴリ押すだけでは決してスムーズに敵を倒せない斬新な戦闘システムが非常に面白く感じました。

 雑魚戦は〇ボタンを押すだけで勝てるような単純なものよりも、戦況を見つつ攻撃のタイミングを図るといったように緊張感がある方が楽しいと感じるので、本作の戦闘システムは自分の嗜好に刺さるものであったと思います。レベルが比較的上がりやすくなっており、ダレにくいというのも評価点として挙げられます。

クソゲーとされる理由に納得できるか

 私は「ポポロクロイス 月の掟の冒険」などの問題作もいくつかクリアしていたのでさほどダメージは受けませんでしたが、クソゲー免疫がついていない一般的なプレイヤーにとっては本作はクソゲーと言わざるを得ないでしょう。

 邪神が付属していた限定版プレミアムボックス(税込1万8690円)を当時購入した人なら、なおさらだと思います。しかし「レベルを上げて物理で殴ればいい」という某クソゲーの真理を真っ向から否定する本作の戦闘システムはこの作品の大きな魅力と言えると思います(バランス調整に問題はありますが)。

※限定版プレミアムボックス:ヒロイン「KOS−MOS」フィギュアが付属していたのだが、ネット上では「邪神像」の呼び名で知られている。ニコニコ大百科「邪神モッコス」が詳しい。

 これからこのゲームを遊ぶ方向けに、攻略のポイントを1つだけ。Disc2開始直後に「シオン」1人で行動する場面があります。パーティが1人であることを考慮してか登場する敵が非常に倒しやすく、そのうえ獲得経験値の75%がパーティ離脱中のキャラにも与えられる仕様となっているので、ここでレベル上げをしておくと後の攻略がそこそこ楽になります。

 レベル35前後くらいまで上げておけば(ステータス的には)困らないんじゃないでしょうか。雑魚敵がそれほど固くないDisc1はなんとか頑張って突破しましょう。

 「2作目は大概駄作になる。シリーズの出来ってのは3作目、完結編で決まる」……って誰かが言ってた気がするので、頑張ってエピソードIIIまでプレイしてみませんか?

※なお、本企画は「インタビュー」として募集を行ったものの、作品愛ゆえか“完成した原稿”を送ってくださる方も。この記事はほぼ原文ママの掲載となります。

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