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【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】“夢の世界”を9年間歩き続けるプレイヤーに聞くゲーム「LSD」の魅力(1/2 ページ)

「説明書では“使わないボタン”で発生するイベントがある」など今なお発見があるとか。

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 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は、ソフトの帯に「こんなのゲームじゃない。」というコピーが使われた「LSD」(PS/ゲームアーカイブス)。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「LSD」(りゅーさん/@liuno

 私は1998年10月22日に発売されたPS向けゲーム「LSD」を2011年に購入し、現在までの約9年間プレイし続けています。実況動画はPart700を越え、発売から20年以上たっても見つからなかったイベントや仕様を見つけたり、さまざまな遊び方を見出したりしながら遊んでいます。

最新動画はPart708(本記事制作時点の情報なので、公開時にはもっと増えているはず)

このゲームの魅力

 「LSD」はリリース当初、「敵やアイテム、せりふ、ストーリーなど、ゲーム性と呼べるものが一切ない」「初代PS特有のポリゴンキャラに広大なフィールドのみ」という点で「プログラマーがPSのポリゴン機能の検証用に“てきとうに作ってみた”と言ってたソフトにそっくり」などと酷評され、まさにクソゲー扱いでした。

 確かにこのゲームには、主人公がいたりストーリーがあったり「敵を倒して成長する」「レースや競技で一番になる」という目標があったり……という、普通のゲームが備えている要素が一切ありません。

 このゲームはこの上なく自由であり、奇妙さあふれる(しかしそれは現実の風景をベースに作られていることが多い)夢の世界を歩き回ること以外、特にすることがありません。分からないことだらけの世界を、プレイヤーそれぞれに「移り変わっていく奇妙な景色をもっと見たい」「あのキャラクターに会いに行きたい」「全部のフィールドを見てみたい」など、自分なりの目的を持って歩き回ることになります。

 一応エンディングはありますが、このゲームをやめるタイミングもプレイヤー次第。私は「人の数だけ遊び方があってよい」ということが、「LSD」の一番の魅力だと思います。反面、タスクを課されることに慣れているゲームプレイヤーはどう遊んでいいものか分からなくなり、このゲームの良さに触れられず、クソゲー判定を下すのかもしれません。

 その他の魅力的な要素としては、以下のようなものが挙げられると思います。

  • OPムービーの曲を豪華リミキサー陣が担当
  • プレイ中に突然に詩のような夢日記が表示される
  • 謎めいたムービーが流れる
  • 大小あわせて14あるフィールドは、プレイを進めるとBGMや壁の柄など何もかも全てテクスチャが変化

 それから、本当に個人的な話になりますが、「LSD」は建物などの角(かど)が良いんですよ。おかげで現実でも気になっちゃうくらいの角フェチになりました。

自分が遊び始めた理由

 自分がこのゲームを遊ぶようになったのは、ある「ゆめにっき」のプレイ動画で「『LSD』というゲームが元ネタらしい」というコメントを見たのがきっかけ。どうしても遊んでみたくなり、ディスク版を購入しました(すでにPSアーカイブで出ていましたが、対応機種を持っていなくて)。

 当時、ネット上には攻略情報があまりなかったので、「それなら自分で調べよう」と検証動画の制作などを行うようになりました。今年2020年は特に収穫の多い年で「説明書では使わないとされていたボタンで発生するイベント」「20年以上、ほとんど誰にも知られることのなかったイベント」を発見しました。

「発売から20年〜22年たった2年の間で発見されたLSDの要素について紹介」

 こうした検証以外では、こんな遊び方もしています。

  • レアイベントを見るためにローラー作戦で歩き回る「レアイベント探訪」
  • ゲーム性のない「LSD」に、あえて自分でゲーム性を設けて遊んでみる
  • 新型コロナで運動不足が気になったので「DDRコントローラー」を購入→足でプレイしてEDまでいく
  • RTA

 あと、これは理解しがたいかもしれませんが……「脳内で『LSD』をプレイ → その内容を口頭で録音 → 再生しながら実際に『LSD』をプレイ → 脳内妄想がどれくらい正確かを測る」という遊び方もしていました。

「LSD」を手掛けた佐藤理氏について

 このゲームの生みの親である佐藤理氏はデザインを中心に、作曲、ゲームなどにも足を伸ばしマルチに活動していたクリエイター。2000年以降ゲーム制作を離れ、表舞台にほとんど姿を現さなくなってしまったのですが、2017年に突然「Diggin' In The Carts」というゲーム音楽のライブイベントに登場。同年以降、ライブイベントや個展などを精力的に展開しています。

 若いファンも多く足を運んでいるそうなのですが、それは「LSD」に心を動かされた方々ではないかと思っています。PS版は現在、中古市場4〜5万円で取引されています(かつてはワゴン売りされていたそうです)が、ゲームアーカイブスでの配信も行われ、非常に入手しやすくなっていますから。

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