日本の伝統的な漆工芸の技法「蒔絵(まきえ)」をガラスに施した作品がTwitterで「うっとりするほど美しい」と注目を集めています。
主に木の器に漆(うるし)を塗った「漆器」に施される装飾として知られる蒔絵を、シャンパングラスのようなおしゃれなガラス製のコップに施した作品。透明な背景だけに、模様がはっきりと浮かび上がり、その美しい色と輝きが目を引きます。
蒔絵は、漆の接着力を利用したもので、漆と筆で絵を描いた上に金粉を蒔(ま)いて装飾する技法。またそこに「螺鈿(らでん)」と呼ばれる貝を使った加飾技法で、自然界に存在する宝石のような光沢が組み合わさり、さまざまな花が印象的に表現されています。神秘的な雰囲気に見とれる……。
使われている貝は「夜光貝」「白蝶貝」「黒蝶貝」「鮑(あわび)」など。花は「三色菫(サンシキスミレ)」「薔薇」「ローズマリー」などの他に、「梅の花」や古典的な「松」の模様も。
投稿したのは、京都の漆芸工房「表望堂」を主催する作家で、蒔絵師の島本恵未(megumi shimamoto/@MegumiShimamoto)さん。島本さんによると、“天然の接着剤”とも言われる漆は基本的になんでもくっつくそうで、さらに最近は漆屋の商品として「ガラス用の漆」というものも出てきており、「私達作家の表現の幅も広がっています」とのことでした。
伝統的な技術が現代的にアレンジされた作品に、コメントでは「(ガラスに蒔絵は)初めて見た」「こんな素晴らしい作品があるのを知らなかった」と感動する声が寄せられており、実用的でもあるアートに「欲しい」や「このグラスでお酒飲みたい」といった声も上がっています。
画像提供:島本恵未(megumi shimamoto/@MegumiShimamoto)さん
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