快速・海里「海里特製 加島屋御膳」(1800円)〜新潟・古町の老舗の味と、明治創業の駅弁屋さんの技がコラボ!
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! 快速・海里の「海里特製 加島屋御膳」(1800円)です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年2月20日)
令和元(2019)年10月から、新潟〜酒田間で運行を開始した快速列車「海里(かいり)」。
4両編成のハイブリッド式・HB-E300系気動車が、週末の日本海沿いを駆け抜けています。
下り列車は新潟を10:12に発車し、新発田、中条、坂町、村上、桑川、あつみ温泉、鶴岡、余目、終着・酒田の順に停車し、越後と庄内という日本有数の米どころを結びます。
車窓に広がる風光明媚な日本海が美しい、のどかな3時間前後の旅です。
4両のうち、酒田寄りの1号車が、リクライニングシートが並ぶ普通車指定席(30席)。
続く2号車が、グループで利用すると楽しいコンパートメントシート(32席)。
3号車は、売店とイベントスペースとなっており、フリースペース的に利用できます。
最後尾の4号車は、ダイニングとして旅行商品での販売で、新潟・庄内の名店の味が楽しめるようになっており、残念ながらツアー参加者以外の方の立ち入りはできません。
「海里」には、普通車指定席(1号車・2号車)の利用者向けに販売されている、予約制のオリジナル弁当があります。
新潟発の下り列車で提供されているのは、「海里特製 加島屋御膳」(1800円)。
指定席券(840円)を購入できたら、主要駅の「びゅうプラザ」や「えきねっと」などで予約し、発券されたバウチャー券を、乗車当日3号車の売店で引き換えていただきます。
加島屋御膳の“加島屋”とは、安政2(1855)年創業、新潟・古町に本店を構える海産物の老舗、「新潟加島屋」のこと。
人気の「キングサーモン味噌漬」、「いくら醤油漬」や「海老しんじょう」をはじめとした加島屋のこだわりの味を、新潟・新津の老舗駅弁屋「神尾弁当部」が列車向け弁当に仕上げました。
つまり、新潟随一の老舗がコラボレーションした、かなり贅沢な弁当なんです!
【おしながき】
- キングサーモンの越後味噌漬の焼き物
- 加島屋のいくら醤油漬
- 兵庫県 丹波 黒大豆の甘煮
- クリームチーズと照焼帆立の和え物
- 素朴な味わいの松前漬
- 加島屋の海老しんじょう
- 新潟沖で獲れた柳カレイの天ぷら
- 旧塩沢町限定 魚沼産コシヒカリごはん
- 新潟県黒埼特産 黒埼茶豆
- 国産ほうれん草のごま和え
掛け紙を外し、ふたを開けた瞬間から、食材がきらきら輝いて見える「加島屋御膳」。
程なく、「海里」車内の至る所から、「美味しい〜!」の歓声が上がりました。
特に加島屋のキングサーモンと塩沢コシヒカリの組み合わせはたまりません。
新潟加島屋の素晴らしい食材を使いながら、「駅弁」のノウハウで保存に適した調理をし、1800円という価格に抑えた神尾弁当部の技も冴えわたっています。
初めて「海里」に乗車される場合は、この特製弁当の予約もお忘れなく!
羽越本線の村上〜酒田間は、食事をさらに美味しくいただくことができる車窓がいっぱい。
1号車の最前部は、運転席越しに前方の風景が楽しめる展望スペースとなっています。
村上駅を出ると、まずは電気が直流から交流に切り替わるデッドセクションで“鉄分補給”。
「海里」がハイブリッド式の気動車なのは、この電化方式の違いに関係なく走行できるというメリットがあることも推察されます。
さらに桑川駅を発車すると、沿線随一の景勝地「笹川流れ」のハイライトへ。
日本海の荒波が打ち付ける大きな岩の一角をくり抜いた短いトンネルが連続し、車窓には、沖合に浮かぶ粟島が望めることもあります。
現在は冬季ダイヤで運行されていますが、3月以降の下り列車は、ビューポイントでの徐行、桑川で約20分、あつみ温泉で約10分の長時間停車も行われます。
乗車した日は、桑川駅から山形・庄内町の観光関係者の方がPRで乗車してきました。
観光パンフレットと一緒に配られたのは、特産の庄内柿を使った「庄内町のほしがきさん」。
干し柿にラム酒をまとわせ、バターやホワイトチョコとクッキーサンドにしたお菓子です。
山形や東北のさまざまな土産コンテストで優秀賞に選ばれた実力派で、じつは私も大好き!
余目駅前の古い蔵を利用した物産館「あっでば」などで購入することができます。
そんな余目駅を出た下りの「海里」は、いよいよラストスパート。
あつみ温泉、湯野浜温泉、湯田川温泉といった鶴岡周辺の温泉地を目指すみなさんは、ひと足早く下りてしまいますので、発車時と比べると、車内は少し落ち着いてきました。
庄内平野に入って、進行右手に鳥海山の山並みも…。
北余目駅を通過し、山形を代表する川・最上川を渡れば、程なく終着・酒田です。
羽越本線の新しい観光列車「海里」。
列車のコンセプトは、「新潟の食」「庄内の食」と「日本海の景観」の3つです。
週末、ブランチ気分で新潟の食が詰まった「海里特製弁当」を日本海を眺めていただけば、庄内でたっぷり観光できて、お宿で庄内の食もしっかり味わうことができそう。
次回は、上り「海里」で提供される特製弁当をご紹介します。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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