東京都の小池百合子知事は2月24日の都議会本会議で、子どものインターネットやゲーム等の利用時間を制限する条例の是非について聞かれ、「科学的根拠に基づかない内容で条例による一律の時間制限などを行うことは考えておりません」と答弁しました。
小池知事は、情報を冷静に見極めた結果として、科学的根拠に基づかない制限を設けるつもりはないと説明。インターネットやゲームの適正な利用については、啓発講座や相談窓口を設けて対応しており、子どもや保護者の自主性を尊重していく姿勢を強調しました。
ネット・ゲーム依存症対策条例(通称「ゲーム条例」)は2020年3月に香川県で全国で初めて成立。同年3月時点で小池知事は、「香川の先進的な事例が色々な意味で参考になるのではないか」「どういう効果をもたらしてくるのかという意味では、関心を持って注視していきたい」と会見で語っていました。およそ1年を経て、香川県での条例に追随はしない姿勢を明確化した形です。
香川県のゲーム条例は施行前から科学的根拠に乏しいことが指摘されていたほか、制定プロセスの不透明性に対しても批判が集中。住民から集められたパブリックコメントが制定前は非公開だった上、制定後に内容を確認すると「賛成派」の約7割が約2週間の募集期間中の2日間に投稿されていたことなど、不審な点が多く見つかりました。また制定後には香川県弁護士会が、「子どもや保護者の自己決定権を侵害するおそれがあり憲法違反となる可能性がある」として、条例撤廃を求める異例の声明文を公開しています。
小池知事の答弁の様子は、無所属の栗下善行都議による投稿でTwitter上で広く拡散。これまでブログなどでもこの件について積極的に発言していた栗下議員は「問題意識を持って声を上げてきた方々の力です」とツイート。また、都議会で代表質問を行った都民ファーストの会代表の荒木ちはる議員は「子供にネットやゲーム等との正しい関わり方を伝え自己管理能力を養成する取組みを都民ファは支援します」とツイートしています。
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