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コロナでキャンセルになった仕事のキャンセル料は消費税がかからない?

消費税が課税となる場合と不課税となる場合があります。

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 数日前、緊急事態宣言が延長されました。これに伴い、地方で予定されていた複数のぼくの講演会が中止になってしまいました。

 売上も減ってしまうし、大勢の前で話をするというすこぶるたのしい機会を失ってしまいます。また、すでに予定されていたものだけでなく、今後依頼があったであろう講演までなくなったと思うと、仕事の仕方をもっと考えていかなければならないと感じます。

さんきゅう倉田連載

さんきゅう倉田

大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイトTwitter


ただの売上とは違う! キャンセル料の取扱い

 講演やイベントは、コロナに関連した緊急事態宣言の発令によって中止になり、それについて主催者に責任はありません。コロナに留意しながら実施されたら個人的には喜ばしいことですが、中止の判断も仕方ないと思います。

 さて、この度、中止を決めた主催者の方からキャンセル料のご提案がありました。みなさんもコロナに関連して、また、日常的にキャンセル料を受け取ることがあるかもしれません。これは、通常の売上と区別して考える必要があります。

 なぜならば、消費税が課税となる場合と不課税(※)となる場合があるからです(「非課税」じゃないよ)。課税となる場合はキャンセル料が10万円だとすると、消費税10%を加えて請求額が11万円になります。消費税がかかる取引は、消費税法で決まっています。消費税がかかる取引に該当しなければ不課税であり、キャンセル料の請求額は10万円となります。

※不課税とは消費税がかからないことです(非課税は消費税をかけないこと。世の中には、課税対象になじまない、社会政策的配慮などで、非課税となっている取引があります。例えば、住宅の家賃とか。みなさんが毎月払っている家賃は消費税がかかっていないはずです)。

キャンセル料にはおもに2つ

 キャンセル料は、おもに2つに分けられます。それが事務手数料と損害賠償金です。

 キャンセルするにあたって、事務処理を行い、そのサービスの対価としてお金をもらえば消費税がかかる取引になります。キャンセルにならなければ得られたであろう利益の補填は、消費税がかからない取引になります。仰々しい表現ですが、「損害賠償金は消費税がかからない」とよく言われます。

 ほんの少し迷いましたが、税理士さんとも相談して、ぼくの講演のキャンセル料は不課税取引だと判断しました。また、飲食店のコースの予約をキャンセルした場合に請求されるコース料金も、おおむね不課税取引だと考えます。ただ、実際には消費税も請求されているのでしょうか。キャンセルをしたことがないので分かりません。そもそも、請求されても払わない人が多くいるという話も聞いたことがあります。

消費税が不課税の場合、源泉所得税はどうなるのか

 源泉所得税がどうなるのかは、その仕事の内容によって異なります。例えば、ぼくが講演した時は10.21%、プロボクサーとして試合に出た場合はファイトマネーから5万円を引いて10.21%、取材を受けた場合は源泉徴収されないとされています。

 今回の講演のキャンセル料は、消費税はかかりませんが、源泉所得税は徴収されて、ぼくの口座に振り込まれることになります。

 みなさんの仕事がキャンセルになった場合の支払いを、どのように処理するのか、判断の一助となれば幸いです。

さんきゅう倉田連載 国税庁「非課税と不課税の違い」について

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